5S活動変化への対応と5Sの基本

製造業とサービス業の現場で5S活動を指導した経験からの報告

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5S活動でノンテクニカルスキルを強化

                                                            

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ステップ4:成長するために5S活動を継続
全員参加による自主的な5S活動によりノンテクニカルスキルを向上させ、企業の体質強化という5S活動の本質的な目的を達成することを提案します。
 
 
更新: 2020/11/24

 

  

1.ノンテクニカルスキルとは何か

人命を預かり間違いを犯してはいけない業界の例としてとりあげられるのが航空業界です。また、ノンテクニカルスキルの資料では航空業界の安全管理は医療安全の歴史より古く、医療安全は航空業界の安全管理を元に発展してきたとの説明があります。
航空業界において、種々の航空事故の原因分析を行った結果、事故は機器や空港、天候などの問題よりも、人間の問題(ヒューマンファクターズ)が原因であるケースが多いことが分かりました。また、その対象となる人間の問題も、操縦のスキル(テクニカルスキル)よりも、むしろ状況確認、チームワークなどの認知的、社会的、個人的なスキルの原因が多くを占めるといわれています。
図はSHELモデルと言われるもので、航空業界で提唱されました。4つの要因と中心の当事者との相互関係に注目して原因を究明し対策を検討するモデルです。5S活動はこれらの4つの要因からなる職場環境を整えることです。図の中心のLは自分自身で、もう一つのLは自分以外の人を表しています。この「L(自分)」と「L(自分以外の人)」を点線で囲んだ部分における関係をうまく合致させて被害を小さくするための能力をノンテクニカルスキルと読んでいます。これは5Sの中の「しつけ」に関わる内容になります。
 

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   [ 医療チームの安全を支えるノンテクニカルスキル(大阪大学より)]

 

ノンテクニカルスキルとは、自分たちが今まで培ってきた専門技術をうまく活かして皆でチームとして良い仕事をするための潤滑剤であるということができます。日本ではノンテクニカルスキルは、専門家や先輩のやり方から学ぶ「暗黙知」として習得するものだとされてきており、トレーニングの対象として取り上げられていませんでした。「ノンテクニカルスキル」という言葉は、現在多くの医療従事者などリスクの高い業界に知られており、各分野でノンテクニカルスキルを向上するための訓練が取り入れられています。

 

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. ノンテクニカルスキルの分類とリスク

緊急時における人間の特性と限界により、適切な行動や正しい判断が阻害されるリスクに対するマネジメントの必要性について以下の説明がありました。
人は専門的な知識や技術を持っていても、おかれた状況によっては適切に対処できないことがあります。それは人間の特性や限界であることを教えるものです。この一人の限界を乗り越え、チーム全体で望ましい結果を得るためのスキルがノンテクニカルスキルです。ノンテクニカルスキルはチームパフォーマンスを向上し、組織で問題を解決しようというものです。そのスキルによってどんな効果を得られるのかということです。

 

<サービス業の5S活動>

まだ記憶に新しいところでは、コンビニエンスストアのショーケースに入った姿や寿司チェーン店のネタをゴミ箱へポイ捨てした動画をSNSへ投稿するなどの問題行動が世の中を騒がせるという事件がありました。これに対して企業はしっかり社員教育するとの報道がありました。このような職場は食品業界だけでなく、多くの業界で多かれ少なかれ存在しており、人手を必要とするサービス業の中にも5S活動を活発に進めている企業も少なくありません。そこには、5S活動継続のポイントがあるようです。
5S活動はチームで活動しますので、チームのメンバー全員が協力しなくては良い成果を上げることができません。チームはメンバーの構成によって色々なチームがあります。先ず身近なチームとして家族があります。そして、学校やスポーツチームなどがあります。デパートのフロアごとの販売チームやレストランなどに限らず多くの職場でチームという単位で活動しています。

5S活動においても職場ごとに決めた5Sチームも例外ではありません。航空業界や医療チームに比べれば緊急事態におけるリスクは遥かに小さいために実施する訓練も軽いものかもしれません。しかし、考え方は共通ではないでしょうか。ノンテクニカルスキルの中で特に参考になるところを抽出してみました。

 

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1) 状況認識

ミッションの前・進行中・後において正しい状況を把握する。状況認識がうまくできていないと、それに続く判断や行動を誤ってしまいます。

 
① ブリーフィング(事前打ち合わせ)
ミッションの前に関係者全員でブリーフィングを行い、状況の認識を共有する。この中には処置の目的だけでなく、一連の手順に加え緊急事態対処法を含めます。ブリーフィングには想定し得る緊急事態への対処方法や関係する人々とのコミュニケーションなどが含まれるとされています。航空業界ではどんなに飛行機が遅れてもブリーフィングをしなくてはいけません。通常5~7分程度と言われるブリーフィングをフライト毎にすべて実施しています。その目的は次のようになっています。

a. 安全で確実な仕事を実施するための意思疎通を図る(目標、手順のポイント)
b .リーダー(機長)の意思を徹底する
c .緊急事態など何か起こった場合の役割分担を確実に確認し合う

ブリーフィングはチームメンバー全員で実施、「状況説明」と「事前打ち合わせ」の要素を含んでいます。そして、これらを頭の中でシュミレーションすることが重要です。

 

② 振り返り(デブリーフィング)
ミッション終了後に、メンバー全員で自分のやったこと考えたことなどのノンテクニカルスキルを重点的に振り返り、課題を明確にして次につなげるものであり、いわゆる反省会ではありません。テクニカルスキルを中心に「振り返り」が行われ、建設的、前向きに、うまくいったこと、うまくいかなかったことを、お互い責め合いなしの議論を通じてメンバー自らの気づきで次回のパフォーマンスを向上させるものです。
結果よりもプロセスに重点をあてノンテクニカルな観点からチームパフォーマンスを振り返る。自分は?チームは?どうすれば次はうまくいくのだろうと気がねなく言える雰囲気が必要です。

 

2) 意思決定

人はチームで困難なミッションに挑戦する際には、下記の「サンクコストの呪縛」や「自信過剰」「一点集中」などにより、前進したいという気持や成功するに違いないという考えが高ぶっていくといわれています。

 

① サンクコスト(Sunk cost埋没費用)の呪縛
回収できない時間や投資、労力をサンクコスト(埋没費用)と呼び、これを将来の意志決定に反映させるべきではないという鉄則です。しかし、サンクコストにとらわれて将来の選択を誤ってしまうケースは決して少なくありません。これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済むと考えて赤字の運営が続けられることもあります。

 

② 自信過剰
自分がどれくらいの力を持っているかについて過大評価してしまう状況は、深刻な状況下で難しい意思決定が必要な場面でしばしば見られる。自分は大多数の人より優れていると考える心理、これは誰もが持っていると言われています。

 

③ 一点集中(とりつかれ)
人間はある一点に集中していると、他の予期しない出来事に気づかないという能力の限界を皆さんも経験されているのではないでしょうか。

 

3) コミュニケーションとチームワーク

現場で発生した事故の原因究明を実施していると「声かけをしておけば良かった」という原因があげられる場合があります。私は何回もこのような場面に遭遇していますが、声かけの一言が事故を防いだかもしれないという結果にいつもコミュニケーションの重要性を再認識されられました。
一方、コミュニケーションは適切な意思決定や正しい状況認識のためには、チームメンバーが上位の人に声かけすることが非常に重要ですが、私たちは、上司や先輩といった権威勾配に逆らって意見を言うことは難しいことを経験しています。

 

4) リーダーシップとフォロワーシップ

リーダーシップは素質のあるトップリーダーだけに必要とされる能力ではなく、チームの全員がそれぞれの役割を認識してリーダーシップを発揮する能力のこととされています。また、チームのそれぞれのメンバーにはチームのリーダーや他のメンバーを支援する能力、すなわちフォロワーシップが必要です。チームで業務を遂行する際は、この両方の能力が必要とされています。

5S活動においてもチームメンバーは役割に応じたリーダーシップを発揮すべきであり、リーダーはできるだけチームメンバーに話させるようにすることが大事です。それにより、声を出す、意見を言う習慣ができ、何かいつもと違う、変だなと思ったら声を出し言ってもらえるようなチームを作りたいものです。ノンテクニカルスキルはチームで良い仕事をするための潤滑剤ですので、全員が個人のノンテクニカルスキルを磨きたいものです。ノンテクニカルスキルとは5Sの「しつけ」に近いものがあります。大切なことは、これが人間の特性であり限界であることを認識したうえで不利な状況に陥らないように、又陥ったときに局面を変えることができるようなノンテクニカルスキルを身につける努力をしましょう。

 

 

   

.5S活動でノンテクニカルスキルを鍛える

今日では常に危険がつきまとう航空界や医療界に加え海運業界や、建設現場、化学工場などでもノンテクニカルスキルに関する地道な取り組みがなされています。一般の製造業やサービス業はこれらの職場より危険性は低いといえますが、人的要素の占める割合が大きなサービス業においてノンテクニカルスキルの考え方を活用できないか検討を進めています。
医療界においてもノンテクニカルスキルの向上の研修がなされていますが、「医療従事者の安全を支えるノンテクニカルスキル」(大阪大学)の中で、一般診療において、いつでもできるノンテクニカルスキルとして「声かけ」「傾聴」「事前打ち合わせ」「振り返り」などが紹介されています。

そこで5S活動をノンテクニカルスキルの向上の機会ととらえ活動することにより、本来の5S活動の目的を達成しようとするものです。

 

誰もが5Sの重要性は理解しているが継続できずにいるのはなぜでしょうか、どうすれば持続できるのでしょうか。それは、自分で気付き、自分でやる、そして、ルールが守れるように、守りやすいように、「やり方」を変える。そうすることによって自発性が生まれます。・・・そんなこと、言われなくても分かっていますよ。

 「かたづけろ!」と怒られてやる整頓はその時だけで、ほとぼりが冷めたら元にもどります。自らの意思で行動する5S活動こそが継続できます。掃除をしろ、整理整頓を怠るなといわれると誰もが反発します。掃除でも、自分から進んで自発的にやった掃除とやらされてやる掃除では、見た目はきれいでも仕上がりが違います。・・・それも、経験して分かっていますよ。

 

 5S活動をやる時間がないという人の本音 
本来の業務ではないのでやりたくない、余計なことだからやりたくない、できれば避けたいと思う、そんなことやる余裕がない、自分のプラスにならない、このような反応は、仕事量が膨大で「やらされ感」を持ったまま仕事をしている人たちがいます。このようなケースは、ルールの意義を考えず、今までやっていたからとりあえずやっているという場合が殆どです。

  1. 私だけなんでやらないといけないのと他人の非協力的な態度が不満 仲間とのコミュニケーションが不足しており、相談する相手がいない場合、何で私だけがやらないといけないのという気持ちになり、創造性に欠けるチームができる。
  2. 5S活動が自分に対する業務改善の効果を理解していない 5S活動によって自分の仕事がどれだけ楽になるか理解していない。淡々と目先の業務をこなしており、変化を好まない。また、表面上はリーダーの指示に従っているように取り繕い行動していても、裏では自分本位の行動になっていては成果は期待できません。

 何事も「目標」が共有できたら、活動の方向が明確になりモラルが向上し、チームワークも生まれます。しかし、それができないから困っていると言うわけです。これらの問題は、複数の人がチームによって活動する場合に起こる共通の問題と言うことができます。

 

これらの不満から浮かび上がってくるのは、共通の認識、目的の共有、楽しい、表彰される、優位になる、仕事が楽になる対策をすることです。どこの企業にも2割ほどの反対者はいるという2:6:2の法則があります。まずは、反対する2割の人は相手にせず、積極的な2割と中間派の6割の合計8割の人を対象に成果を示し取り組みましょう。反対派に負けない強いリーダーシップが必用です。では具体的にどうすれば良いのでしょうか。

  

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3.1.5S活動に必要なノンテクニカルスキル

5S活動で考えられるノンテクニカルスキルは、航空分野で実施されているようなものとはレベルが違うのですが、考え方は同じであるので5S活動に必要なノンテクニカルスキルを向上させる手法を学ぼうというものです。

 

1) ボトムアップによる意見の吸収

全員参加で自発的に進めても5S活動を定着させるためには、経営トップの積極的な姿勢が不可欠です。5S活動で効果をあげるためには、先ずトップダウンで進むべき方向を示し、次に5S活動の仕組みを決め、社員が自ら活動できるボトムアップの活動の仕組みを作る必要があります。

 

2) 5S活動は業務の中で行う

特に人手不足の影響の大きい外食業界は、パート社員が多く就業後に時間を設けるこ とは困難です。パート社員比率の少ない組織においては正社員が中心になって5S活動を進めることが可能ですが、パート社員が中心の職場では時間の使い方は異なります。パート社員が中心の職場においては、業務の中で5S活動を進めることが必要です。つまり、組織の現場力に合わせた5S活動を行うということです。

 

3) 動機付けとモチベーション

あなたの会社では5S活動はどのようなきっかけで始められたのでしょうか?「5S活動をやるぞ!」とトップからの指示だったのでしょうか。そして、今もその時のモチベーションを持ち続けていますか?

5S活動には「意識改革」が必要であると多くのコンサルタントや5Sテキストにも書いてあります。多くの5S活動が続かない理由は。この「意識改革」が難しいからです。意識改革とは、人の考え方や行動特性を変えることにより業務プロセスを改善し活発な企業活動を推進することです。 
5Sが定着しないのはモラールが低いからなどと言われていますが、多くは精神論として片付けているのです。ですから、最初のうちは一生懸命やっていた5S活動もいつの間にか元の状態に戻ってしまうという繰り返しです。

 

5S活動を継続できるのか、衰退するのかの「キーファクター」である動機付け」について 次のような説明があります。

・モチベーションを決定づける要因・・・ハーズバーグ

ハーズバーグの二要因理論によると、次の「動機付け要因」と「衛生要因」の二種類に分けて考えるという理論です。


①動機付け要因・・・やりがい
仕事の内容からもたらされる満足感(達成、承認、責任、昇進)

 

②衛生要因・・・不満を感じて意欲が落ちる
仕事の環境からもたらされる不満(会社の政策、監督方法、給与、対人関係、作業条件など)

 

これを5S活動について考えてみると、先ず、5Sチーム内で積極的に情報や目標を共有するように進め、メンバーが達成感を感じられるように目標を設定して内なるエネルギーを高める「衛生要因」対策を行い、

その後で、職場環境における低次の基本的な欲求である、報酬、褒める、喜びを与える「動機付け要因」を満たすことによって動機付けが可能となりメンバーのモチベーションアップにつながるということになります。

 

また、人は目的を共有できればチームワークが生まれると言われています。では、どうしたら目的を共有できるのでしょうか。上司が一生懸命目的や仕事の重要性について話をしても、自分には関係ないやとよそを見ている人がいます。このような人たちは5S活動についても同様で、やりたくないのです。このようにいくら精神論でやっても効果につながらない場合が少なくあります。

  

 

そこで、このような状況を解決するために、5S活動で必要なノンテクニカルスキルを、「状況認識」「意思決定」「コミュニケーション・チームワーク」「リーダーシップ」に区分してみましょう。

 

 1.5S活動をやる時間がない → 状況認識

仕事が忙しいという場合はどのような対策が必要でしょうか、これには5S活動の重要性を理解できていないために、正しく状況を認識できていな場合も含まれます。

   ・5S活動と企業の方針とのつながりを理解する

   ・業務分担が目的達成のために適切であり、健全であることを理解する

   ・思い込みによって事実と異なることを認めてしまう 

 

   

 2.5S活動に全員の協力が得られない → コミュニケーション・チームワーク、

リーダーシップ

自分だけどうしてやらなければならないのか、全員が思い思いの仕事をしておりお互いが非協力的である。

   ・改善シートの掲示により、チームワークの成果を分かちあう

   ・簡単な目標の達成で成功体験を体得して維持継続する

   ・朝・昼礼などでの話し合い情報の共有化をはかる

 

 

 3.業務改善をやろうという気持ちがうすい → 意思決定

5S活動によって仕事が改善できることを知る。

   ・改善活動結果に応じた報奨金制度をつくる

   ・改善効果に応じて表彰することにより、改善の必要性の理解を高める

   ・改善して良くしようという自発的な行動につなげる

 

 

 

.ノンテクニカルスキルアップの5S活動事例

航空界や海運、化学プラント、医療関連のようにノンテクニカルスキル訓練が実施されていますが、これらの業界を除く一般の産業においてもノンテクニカルスキル向上の研修はKYTなどを中心に実施されています。
仕事は組織で行動しますのでテクニカルスキルとノンテクニカルスキルの両輪で推進されています。これは5S活動についても同様で、整理、整頓、清掃、清潔、躾のテクニカルスキルとノンテクニカルスキルによって5S活動の成果が出てきます。

5S活動におけるテクニカルスキルである5Sの言葉や手順の理解は難しいことはありません。5S活動は簡単にできることを、笑われるようなことを確実に実施することから始めます。それはどういうことかというと、5S活動の目的というのは、安全や効率の向上、快適な職場環境への改善です。この改善、つまり人の行動を継続していくためには習慣になるまで続ける必要があるということを示しています。例えば、毎朝3分間自分の机の引き出しの中を整理するなどです。手軽にできることから始めましょう。自分でここまでできればOKだというレベルを前もって決めておいて、余裕を持ってできることから始めるのです。これを毎日繰り返すことによって習慣化していきます。5S活動を始めると数ヶ月で概ねこのレベルには到達するのではないでしょうか?

しかし、5S活動の難しさはここからです。多くの組織では1年後・2年度、まるで熱が冷めたかのように5Sという言葉を聞かなくなります。

このような状態から5S活動を続けるためには、改善を続ける現場力が有るかどうかということになります。現場力とは、「解決する力」「組織力」「推進する力」の三つの力を備えることだと言われています。これらの力は、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルによって生まれます。

これらの力を養う方法の一つが5S活動であり、そのためには片付けスタイルの5Sから脱却しなければなりません。例えば、不要なモノを生み出す発生源を無くさなければ、いつまでも片付けをしなければなりません。不要なモノを生み出すプロセスを改善して、片付けをしなくてもいつも綺麗で仕事のしやすい環境が維持されている職場を作ります。

 

5S活動の特徴より通常つぎのようなテーマが5S活動のテーマとして実施されます。ここで注意することは、5Sの言葉の意味にとらわれないことが重要です。
①職場環境の改善
 致命的な大きな問題にはなっていない問題。
 例:部屋の角にゴミやほこりが溜まっている
②慢性的に発生している不良対策
 ヒューマンエラーなどのいつも発生しているがなかなか手がつけられていない慢性化した問題
 例:商品の汚れや食事への異物混入が慢性化している
③能率向上
 捜し物や本来しなくてもよいことなど不必要なことをするムダ
 例:工具が所定の場所に保管されていない
④労働安全
 労働災害をなくす。
 例:床面の段差に足が引っかかり転倒する


相手の話を聞くというのもノンテクニカルスキル(コミュニケーション)の重要なスキルなので意図的やってみてください。普段からやっていないことは緊急時でもできません。更に、安全に対する要求の高い航空分野や医療界などでない一般産業においては、実際の業務の中で意図的にトレーニングを組み込むことが可能な場合もあります。一つ一つ工夫してトレーニングすることが緊急対応のトラブルに陥らない改善策です。

 

 

事例.     整理・整頓の5Sトレーニング(仕事場の環境改善)

[課題]

昼休み前の状態のまま作業台の上に仕掛品や工具を放置したままで食事に行って、午後の作業を始める時に、作業台の上が片付けられており一部がどこまで終わっていたのかが分からず午後の仕事始めが遅れるというトラブルがある。

 現状把握:5Sトレーニングに参加したメンバーどうしで、現状を共有するまで確認する。
     ①完成品と仕掛品の区別がつかなくなり時間どおり開始できない。
     ②午前中に完成した数量が記録と実際が一致しないため原因不明で開始できない。
     ③作業開始前に準備した部品の数量が記録と一致しないため開始できない。
目標設定:リーダーが中心になって対策を出し、目標設定する。
       ①完成品と仕掛品の置き場所を決めその通りに置く。(整頓)
                  ②記録の見える化して、数量を常に確認する。(整頓)
     ③部品に現品札を貼り、定品・定量を管理する。(整頓)
レビュー:仲間の意見や行動から「ノンテクニカルスキルの強化につながる気づき」を出し合う。

項目

自分の気付いたことを発表

状況認識

①  役割分担を確認しあっているか

②  状況説明をしているか

③  事前打ち合わせができているか

意思決定

①  状況把握から、実行、結果まで全体を捉えているか

リーダーシップ

①  誰がリーダーシップをとっているか

②  他のメンバーを互いに支援し助け合っているか

コミュニケーション

①  良かった点

②  悪かった点

  

効果確認:午後の仕事始めにおいて、開始時間の遅れは発生していないか確認する。

  

現場力の発揮にはノンテクニカルスキルが必要になります。是非、次の「ノンテクニカルスキルと5S活動」も読んでください。

 

 

 

 

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