5S活動変化への対応と5Sの基本

製造業とサービス業の現場で5S活動を指導した経験からの報告

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5S活動とは?5Sの本来の目的と効果

                                                                                                                                                                                           

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5S活動によって仕事の品質や生産性の向上を実現し企業体質を強化するためには、5Sの真髄ともいうべき本来の意味や進め方のノウハウの理解が不可欠です。
  
 
 
 
更新: 2020/11/22

 

 

1.5Sの歴史から学ぶ

整理整頓から出発した職場環境の改善は、1965年頃には4Sに「しつけ」を加えて5Sというようになり、その後、5Sという言葉が一般的に使われるようになったと言われています。
しかし、現在のように、5Sという言葉が半世紀をすぎても多くの職場で使われ、5S活動が普及している背景には、次のような出来事があったようです。
それは、製造工場における品質向上や生産性の向上のために、開発部門では新製品を投入、技術部門では工程改善などに全社をあげて取り組んでもなかなか効果がでなかったのです。多くの企業が改善活動をやっても品質は良くならない、生産性が向上しないという経験をしました。そこで原因を調査した結果、
 

①工場の備品や工具などが決められたところにないため、探すのにムダな時間がかかっている。・・・整頓ができていない。

 

②清掃が不十分できれいにできていなかったために、製品に異物が混入していた。・・・清掃ができていない。

 

体質強化など、5Sに関連する基本的な問題が多く寄せられたようです。このような経験から、品質や生産性の向上をはかっていくには、「当たり前のこと、基本的なことをきちっとやっていかなければならない」ということが再認識されました。


この、当たり前のこと、基本的なことをきちっとやっていかなければならないということは、製造業だけでなくすべての組織に必要なことです。このことが、今日、多くの企業で5S活動が実施されている理由であると考えられます。
つまり、整理、整頓、清掃、清潔、躾の徹底で職場環境を改善する5S活動により、「業務効率の向上」「職場の安全」「快適な職場環境」を通して「体質強化」「業績向上」にもつながる活動だからです。

 

 

2.5Sで何を得ようとしているのですか?

5Sに取り組むことによって、「どのような会社や職場にしようとしているのか」を明確にすることによって進め方も違います。5S活動とは何をするのですかというと、次のように回答される方が多いのではないでしょうか。
5Sとは、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketsu)、躾(Shitsuke)の5つの管理活動の頭文字をとった標語・スローガンです。日本の工場、店舗やオフィスでは常識となっており、よく知られており仕事を行う際の心得とも言えます。

【整理】必要なもの不必要なものに区別し、不必要なものを処分する   
【整頓】置き場所を決め、いつでも、誰でも使えるようにする
【清掃】定期的に清掃を実施し、ゴミ・汚れを取り除き、点検し、きれいな状態を保つ
【清潔】整理・整頓・清掃を維持し、誰が見てもきれいでわかりやすい状態に保つ
【しつけ】決められたルールを正しく守る習慣をつける 
 

 しかし、5S活動とはこの言葉の意味を理解するだけでは不十分です。以下の5S活動の特性を理解し、自社にあった取り組みをしましょう。

 


3.職場環境の違いと目的

5Sは職場環境の改善ですが、その職場は業界や業種によって違います。例えば、工業製品の組み立て工場と病院や外食産業の職場環境は異なります。また、下図のように工業製品でも特殊な環境を必要とする半導体工場のクリールームのように特殊な職場固有の環境を必要とする職場もあります。

 

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食事サービスの厨房においても同じように特殊な職場環境と言えます。5S活動においては、食中毒菌等の微生物レベルの清潔を維持することが大前提です。このように職場環境が「清潔であること」であるため、整理、整頓、清掃をしっかりやっていれば目指す清潔に近づくと思われているということから、「掃除5S」で終わってしまい改善を伴わない職場環境の5Sに停滞しやすい傾向があります。 

多くの場合、時間が経過し5S活動への関心が薄れてしまうと、いつの間にか図のピラミッドに赤い線のような隙間が発生します。この隙間が大きくなると、基礎となる5Sの活動エネルギーが改善に伝わらず、いつまでたっても現状のままで、改善効果が出ないという状態が続きます。

しかし、同じ目的を持って集まっている人々の職場においては、「楽しい職場」「お客様に喜んで頂ける雰囲気」を自分たちで作り、仕事への貢献したいと気持ちが高まってきます。このような意識の変化が5Sに対する自発的行動につながります。

 

 

4.不可欠な行動

自発的行動

5S活動は自ら進んでやる気持ちがとても大事です。自分の周りの小さなことから、自発的に5S活動をすることにより、5S改善のアイデアを得ることができます。
例えば、自ら進んで掃除をすることにより、作業台の汚れや床のゴミが気になるようになります。そして、だんだん汚さない、散らかさないための、発生源対策を工夫するようになります。これが5S改善であり、何をしたら良いか分からない時の、取り組みの一つでもあります。

 

 

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全員参加

5S活動で扱うテーマは仕事の現場の小改善です。5S活動はその小さな改善を全員で実行し、大きな成果を得ようという活動です。ですから、5Sリーダーのみが活動していて、他の社員は意識が薄い。という状況では効果はでません。そこで、全員に参加してもらう仕組みが必要になります。
5Sチームのような現場のチームのメンバー数は、5名~9名の時が、もっともチーム力が発揮されると言われています。 
組織の規模に応じて、A工程、B工程、C工程などで、5名~9名のチームができる組織は複数のチームを作って、リーダーを中心に全員が5S活動に積極的に参加できるようにしましょう。そして各チームが一致団結して総合力を発揮してください。
このようにチームを作って活動できれば良いのですが、中には全員集まるということがなかなかできない職業もあります。型にはめることなく、時代の変化に対応できるように柔軟に考えることが大事です。次は具体的な全員参加のモデルですので参考にして、組織の全員が参加し傍観者は一人もでないように全員参加で取り組みましょう。
 一般社員は、現場で直接「整理」「整頓」「清掃」を自ら進んで実行します。5Sリーダーは、現場の人が5Sがやりやすくなるように率先して実行します。管理者は、私は課長だから、部長だからといって例外をつくらず、ある担当範囲を受け持って実行しましょう。管理者のもっとも重要な役割は「しつけ」です。決められたこと、ルールをしっかりと守るように指導する役です。経営者は、「やるぞ!」と先頭に立って積極的に続けることが重要です。経営者や管理者は、最初だけは積極的に進めていたが途中から部下に任せて関わりををなくしているというケースが少なくないようです。こうなると5S活動の本来の目的も達成できません。
 

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5.効果がでる5S活動

5S活動の効果は徹底しないと出てきません。徹底する方法の一つは、改善テーマを絞り込み、目標を設定することです。改善テーマがいっぱいあっては徹底することはできませんので、その中から、最初は効果が小さくても、すぐできることから、テーマを絞り込み、実現できる目標を設定しましょう。

二つ目は、徹底するための時間を見つけることです。5S活動には時間が必要ですが、全員が一箇所に集まり、時間をかけてミーティングすることだけが5S活動ではありません。 忙しい時でも、合間をみつけて5S活動をしましょう。それに加えて、最低でも週に1回は、定期的なミーティングなどを行いコミュニケーションを維持することが継続につながります。

 

 

5S活動のメカニズム(食品関連の例)

中央のピラミッドは5S活動の概念を表しています。5S活動は「職場環境の5S」と「5S改善」から成り立っています。矢印は5S活動の活発さ、取り組みの強さを表しています。
 

  

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5S活動の初期の段階(白矢印)では、全員参加で自発的に、整理、整頓、清掃、清潔、躾の5Sが実施され、「整理されたきれいな職場」になったという効果により、職場環境の5Sのサイクルが回ります。
次の段階(黄色の矢印)では、5S改善のテーマを絞り込み、徹底することにより「清潔な環境の維持」「異物混入の削減」「クレームやムダをなくす」という5S改善の効果が出ます。そしてこれらの効果やメリットを実感することにより、5S改善のサイクルが回ります。
この図は、5S活動には「職場環境の5S」と「5S改善」の二つの重要な流れがあることを表しています。

ところが、“全員参加で自発的に”という取り組みが弱く、黄色の矢印まで届かないと、5S改善が積極的になされないため改善効果が出ません。
そうなると、5S活動への関心が薄れ、ピラミッドにこのような隙間が発生します。 この隙間が大きくなると、基礎となる5Sのエネルギーが改善に伝わらず、いつまでたっても現状のままで、改善効果が出ないという状態が続きます。

このように、5S活動は“全員参加で自発的に”という行動が出発点であり、重要実施ポイントを実行することにより、5S活動の効果が出てくることを理解して積極的に取り組みましょう。

 

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