5S活動 変化への対応と5Sの基本

製造業とサービス業の現場で5S活動を指導した経験からの報告

5S活動の効果!5S活動は品質管理の基礎

                                                                  

異物混入や商品キズは物理現象ですが、数量違いはヒューマンエラーの場合が多いと言えるでしょう。問題の中には、この物理現象とヒューマンエラーが複雑にからみあった問題もあります。そのような場合は、問題の解析にあたって、その内容が物理現象である場合は、物理現象の解析を先に実施し問題を一つひとつ解決していく必要があります。 何よりも重要なことは、問題発生源にいる当事者がこの問題を二度と発生させないという強い決意がなければ、是正処置も進まず問題を撲滅できません。


管理する側にとっては、どんなクレームも報告するように厳しく指導したり、問題を報告すると厳しく叱責したりすると、クレームの報告が上司に報告されなくなるという場合があります。では、問題を隠さない土壌を作るためにはどのようにしたらよいのでしょうか。


店舗では最初から最後まで自分ひとりでやるという作業は殆どありません。チームとして作業しています。前工程から次工程へと引き継ぎをしながら、お客様に商品を提供しています。チーム作業でもっとも重要なことは、情報を共有することです。チームの課題や目標を共有することは、一人ひとりの行動のベースになるからです。引き継ぎを適切に実施しない、メンバーのミスをフォローしない、という状況が発生するとチームは重大な問題に直面します。


また、よくある問題として、安全衛生について意識が低く後回しにする傾向があるということです。このようなケースは、製造業では納期に間に合わせなくてはならないという意識が、レストランなどの食事サービスではお客様を待たせることなく提供するという意識だけが強く出てきた場合です。もちろん、時間内に提供するということは大事なことですが、食事サービスの土台である安全衛生をおろそかにすることはできません。特に、サービス業は人の行動が大きな影響を与えますので、リーダーは発生した問題の背後にあるものは何か、このことをしっかりと認識し、一人ひとりの行動を観察し、相談に乗ってチーム全体で解決していく雰囲気を創り出す努力が必要です。


クレーム対策のヒントは当然のことですが現場にあります。これらの問題への対応ポイントは、先ず、重大事故へ発展しないよう応急処置を実施すること、次に多発する事のないように問題の背後要因をつかんで同様の問題の再発を防止することです。 クレームが何件発生したとかいっても共通の認識を持つまでには伝わらない。なぜクレーム撲滅が必要なのか、ロスコストはどの程度なのかについても「見える化」しないと問題意識の共有化は難しくなります。

 


クレーム対策の心得
クレームが発生した時の対応や予防について重要と思われる12項目をとりあげました。全員で力を合わせて実行できる項目から取組みましょう。

1.是正処置とはクレームの原因を除去すること
応急処置では再発は防げない、原因が分からなければ是正処置もできないことを納得し、根本原因を究明することの重要性を理解する。

 

2.原因には「発生原因」と「流出原因」がある
発生原因とは混入した具体的な事実・・「虫が味噌汁に飛び込んだ」
流出原因とは止められなかった理由・・「検査で発見できずに出荷された」

 

3.なぜなぜ分析で原因を究明する
起こった不具合・不適合に対して、「なぜ」「なぜ」を繰り返して真の原因を見つける。発生原因と流出原因のそれぞれについて、具体的な対策がとれる段階まで繰り返す。

 

4.ルール(作業標準)を守らないとクレームが発生することを体得する
人数が少ないから不要という場合でも、基本事項を書いたメモなどは使用しています
が、このメモは作業標準の目的と全く同じです。自分がルールを守らなかったらどのような問題が発生するのか理解し、体に覚えさす。但し、長続きはしないかもしれません、なぜならヒューマンエラーが起こる可能性があるからです。

 

5.始めて、久しぶり、変更(3H)のリスクを見逃さない
人、設備機器、材料、作業方法の四つの条件を3Hの視点から管理し、変化を見
つけ未然防止することによりクレームの発生を防ぎましょう。

 

6.ヒューマンエラーはなくならないが、少なくすることはできる
「ウッカリ」「ボンヤリ」することにより、人はミスや間違いを犯してしまう。背後
要因まで掘下げる必要があります。1人ひとりが努力しないと少なくならない。

 

7.ヒヤリ・ハットの経験から予防対策する
各人が経験したヒヤリ・ハットの情報を皆で共有することによって、重大な災害や事
故の発生を未然に防止する活動。床の段差につまづきガラス製の高価な装飾品を落としそうになった。

 

8.危険予知活動(KYT)で未然防止する
住宅街を運転する時に、路地から突然、子どもが飛び出してくるかもしれないと考えてスピードを落とすのと同じように、仕事を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を話し合い、「これは危ないなあ」という事柄に対して手を打ち、事故を未然に防止する活動を行う。

 

9. 是正処置は現場の作業手順書に落とし込む
複数の工場や店舗を有する場合、共通の標準作業手順書作る場合がありますが、共通の作業手順書だけでは有効な効果が期待できない。

 

10.ポジティブな考え方で共通認識を持つ
是正処置の仕組みができてもそれを実行するのは人です。クレームに直面した人がどのように認識しているかが大きな影響を与える。共感、イベント、トップとのコミュニケーションにより全員が共通認識を持つ必要がある。

 

11.スピード対応
クレーム対策はスピードが命である。初動の遅れによる問題の拡大や再発により、
お客様の信頼を失い関係をこじらせてしまい契約中止につながることもある。

12.3現主義対策
原因を「現場へ出て」「現物・現象を見て」「現場で原因究明」する。クレーム報告書には再発防止策の欄があります。この 再発防止策を是正処置といいますが、皆さんは是正処置という言葉の意味をどのようにとらえているのでしょうか。
「是正」という言葉を辞書で引くと 「悪い点や不都合な点を改め正すこと」とでていま
す。「是正しなさい」と言われれば、文書であるなら間違っている箇所を直して再提出したり、態度であれば、以後、そのようなことが無いよう改める。というようにとらえられているかもしれません。 しかし、品質管理の是正は、それとは少し異なるのです。

 

 

品質管理の是正処置  
品質管理では是正処置について、「検出された不適合又はその他の検出された望ましくない 状況の原因を除去するための処置」と定義されています。これは、原因が分からなければ是 正処置もできないということでもあります。原因を除去するとは、原因を否定すること、裏返す ことです。原因が「△△が〇〇しなかった」ならば、その否定・裏返しである是正処置は「△△ が〇〇する」です。是正処置をどうしようかと考える必要はなく、原因を否定すれば、それが 是正処置になります。

具体的な原因になるまで続ける
したがって、クレームの原因が不明では正しい是正処置を実施することはできませんが、次のような原因もまた具体性に欠けるため是正処置がとれません。


a.周知徹底できていなかった → 周知徹底する
※これは分析の途中です。誰に、何を、どのように、どの程度するのか不明です。


b.~と勘違いした → ~と勘違いしない
※人は思い込みやうっかりミスというヒューマンエラーを起こすもの、これでは対策がとれません。ヒューマンエラーの 対策では、次の例のように背後要因まで分析しましょう。また、必要なら複数の是正処置を 実施しましょう。

 

(例)
1)同じ色のケースに入れ、隣どうしに置いてあったので間違っていることに気付かなかった。

2)時間に追われあわてており、しかも緊張していたので確認ポイントを忘れた。 


設備機器の破損と品質問題

鉄道や道路などの社会資本から家電製品や調理機器まであらゆる設備機器が直面している問題として、劣化等による破損のために多くの事故が発生しています。以前、調理機器のネジが食事に混入したという事故があったというニュースを聞いたことがありました。これは、きゅうりをスライサーでカットした時にネジが外れて混入したものでした。厨房の中では、冷蔵庫をはじめ多くの調理機器が使用されています。これらの調理機器は長時間使用する間に部品が劣化して故障する場合や、故障まで至らなくてもネジが締まりにくい、温度があがらないなど本来の機能が損なわれることがあります。

①事後保全
これらの故障に対して、「こわれたら修理・修繕する」という事後保全ではお客様に安全で喜んでいただける商品を提供することができません。

②予防保全
こわれる前に修理・修繕する」のが予防保全です。予防保全は作業の前に外観をひと通り目視するだけでは不十分で、取扱説明書にしたがって作成されたチェックリスト等を使用した点検を実施する必要があります。点検の内容はチェックしたけど故障したということがないように、チェック箇所とチェックの方法及び判定基準に曖昧な部分がないように明確にしましょう。

 

<予防保全

設備機器や器具の破損、摩耗状況に応じたこれらの機器の数を確認するだけでなくその破損や摩耗の状態に応じたアクションが不可欠です。さもないと、記録することが目的となってしまいます。このような場合になると、すべてが問題ないと報告することになり、状況に応じたアクションが表に出てこず、本来の目的を達成できないことになります。


③故障の予知と未然防止
設備機器の故障や危険な行動を予知して、事故を未然に防止する方法として有効な手段がKYT活動です。KYTとは、危険(Kiken)+予知(Yochi)+トレーニング(Training)のことです。「取り付け台のネジが緩んだら」「金具が振動で外れたら」など、作業に当たって「これは危ないなあ」とひそんでいる危険に気づき、事故の発生を未然に防止する取組みです。
言い換えれば、「危険に対する気づきの感性」を利用して予防することです。これは、すべての設備機器に対して活用できます。故障や事故が発生する前に、修理し未然防止に努めましょう。

 

 <設備機器の管理と5S活動との関係>

設備機器や工具などの故障や破損による品質問題の発生に対する5S活動は、「清掃」の中に点検を含める5S活動や、「修理・修繕」や「整備」の「S」を5S活動に追加する方法があります。

 

 

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