5S活動 変化への対応と5Sの基本

製造業とサービス業の現場で5S活動を指導した経験からの報告

5S活動の進め方 5S活動の実践ポイント

                                                                                                                                  

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1.5S活動の現状把握

現在5S活動に取り組んでいる組織でも、最初のうちは一生懸命やっていた5S活動もいつの間にか元の状態に戻ってしまうという繰り返しではなかったでしょうか。そして5S活動を続けるための対策として、次のようなことがあげられています。 

 

1) ボトムアップによる意見の吸収で → 自主性の向上が期待できる
2) 5S活動は業務の中で行う    → 人手不足や働き方の変化への対応
3) 報酬、褒める、喜びを与える   → 現場の社員のやる気

 

また、人は目的を共有できればチームワークが生まれると言われています。では、どうしたら目的を共有できるのでしょうか。上司が一生懸命目的や仕事の重要性について話をしても、自分には関係ないやとよそを見ている人がいます。このような人たちは5S活動についても同様で、やりたくないのです。このようにいくら精神論でやっても効果につながらない場合が少なくあります。


簡単な5S活動も、続けるのは簡単ではない
5S活動を長続きさせ効果をあげるためには、どのように5S活動を進めたらよいのでしょうか、5S活動の継続はこのチームメンバーの力と、そのチームをどのように運営するかという両面からみましょう。

 

5S活動が続かない原因
5S活動が続かない原因は、多くの方が調査・分析して、ほぼ出尽くした感があります。それは、次のような内容です。


<原因>
1)  何のためにやるのかという、5S活動の目的を理解していない
2)  忙しくて5S活動をやる時間がない
3) 5S活動のやり方を知らない
4) 5S活動が利益に貢献していない

<対策>
1) 5S活動の目的を正しく理解する
2) 日常の業務の中で5S活動を進める
3) 経営トップが指導力を発揮する
4) 5S活動の方法・進め方を教育する
5) 経営に貢献する5S活動を進める
6) 5S活動の効果を実感できる仕組みをつくる

 

5S活動の時間を作る工夫
5S活動は職場環境の改善であると説明しました。この職場環境は、業界や職種によって違いがあります。よって、5S活動の進め方は違います。
サービス業では製造工場のように、毎週、全員が集まってミーティングを行うというのは、なかなかできないのが現状ではないでしょうか。では、どのように5S活動を進めるか?
それは、5S活動のやり方を変えることです。5S活動は、「時間を決めて一箇所に集まりミーティングすること」だけが5S活動ではありません。忙しい時は数分の打ち合わせだけにして、週に1回の短時間のミーティングで進捗状況を確認するなどです。

業種によっては、その特質に応じて次の5S活動の方法を取り入れて5S活動を推進しましょう。
一つ目は、業務の中で5Sを実践する
二つ目は、コミュニケーションの強化による相互協力をする
三つ目は、忙しい時ほど、改善のネタを見つける
四つ目は、朝・昼礼や職場ミーティングでとりあげる
五つ目は、忙しい時でもわずかでも改善活動に時間を割く
5S活動が利益につながることを、理解することなしには継続するのは困難です。

 

 

 2.5S活動の実践ポイント

 1)「整理」の進め方 

整理のキーワードは「放置しないこと」です。必要以上に購入してしまって今は使用していないもの、故障したまま放置している器具など、使おうと思って買った消耗品が現在は使用されていないなど放置されているものはないでしょうか。
整理が進まない場合は、「不要なものを廃棄する」という方法から「今、いるものだけを残す」というように考えてみましょう。

1.不要品の判断基準を決める
何を不要品とするのかという判断基準を決めた「不要品判断基準表」を用意する。人は、いざ捨てるとなるとなかなか捨てられないものです。事前に判断基準を作成しておき、それに従って処置を決めることでスムーズに実行できます。

「整理」とは「要るもの」=「使うもの」を判断すること

 

2.不要品リストを作成する
不要品の抽出に漏れがないように持ち込み禁止物、許可のない私物、故障・破損により使用できない器具などが記載された「不要品リスト」を作成する。数が少ない場合はよいのですが、多くなると漏れが生じます。アッ!これも不要品だということのないようにしましょう。

 

3.不要品を選ぶ
不要品リストに基づき、不要品を選び出す。不要品が多い場合は、「赤札」を付け「見える化」する。

 

4.不要品を処分する
選び出した不要品を、廃棄するのか保管するのかなどの処分を行う。処分するために承認や許可が得にくい職場では、面倒だといって放置される可能性があります。どのような手順で処分を決めるか前もってルールを決めておくと効果的です。

 

5.元の状態に戻らないようにする
① 仕事場や倉庫庫、休憩室などを定期的に見回り維持されているか確認する。
② 仕事場への不要品の持ち込みを防止する。
③ 不要品の発生をおさえる。

 

[課題]

不要品処分の承認を得るのが簡単ではないという理由で、使えなくなっても処置の手続きをせず放置していませんか。また、委託業務の場合も所有者に対して不要品の処分の許可を簡単には得られない場合が多く、処分できずに放置することはありませんか?

 

[対策]

現場の作業に影響を与えるような場所に置いてあったら、それらをピックアップして、経営者や所有者も同席のうえで、何時までにどうするのか処置を決めておくことにより、期限が過ぎたら処置することが容易にできます。これには、発注ミスやメニューの変更で購入したが使用されなかった食材、機器や大量の使用予定があって購入したが使用されない消耗品なども含まれます。 

 

 

 2)「整頓」の進め方

置き場所が分かっているのに表示が必要なのかということを聞くことがあります。5Sの整頓は、置き場所が分かっているかどうかではなく、「ものを取りに行く時間や探すムダな時間が発生していないか、もっと効率よく仕事ができる置き場所はないか」というように考え、先ず、3定管理のうちの「定位置」と「定品」の2定管理を実施しましょう。具体的には、ものを取りやすく、元に戻しやすくする、近くに置いてある、探すことをなくすことや、 配膳車などの大型のものには床の基準線を設けるなどが有効です。その後、「定量」にとりかかりましょう。

1.整頓する対象を決める
原材料、調味料、調理機器、調理器具、食器、献立表、マニュアルなど。

 

2.置き場所を決める
使用箇所、使用頻度に応じてモノの置き場所を決める。調理場、食材庫、休憩室など。

 

   [3定管理]   先ず、    定位(どこに)→ 場所(表示)
                定品(何が) → 名称


              その次に、  定量(いくつ)→ 数量

 

使用頻度の高いモノは手前に置くなど、どこに(定位)なにを(定品)いくつ(定量)置くかを決める。

 

3.置き方を決める
いつでも、誰でも取り出せ、もどしやすい置き方を決める。袋、箱、ケースなどの保管容器も決める。

 

4.表示方法を決める
文字と色を使い、モノと場所が照合できるように見やすい表示をする。

 

5.整頓の日程と分担を決める
① 時間を決め、定期的に見直す。
② 原材料の補充や入れ替えの時に乱さない。
③ 多くの場合、元に戻すときに乱れる。

 

[課題]

どこに何が入っているか分かっており問題なく仕事はできているのに、なぜ表示が必要なの?どの程度細かくラベルを作って明示しないといけないの?

 

[対策]

整頓には3定管理があります。整頓の最初は「モノの位置」です。これは、定位・定品が該当します。そして、三つ目は量の管理で「定量」です。

整頓で大事なことは作業工程の流れを考えたモノの管理です。これが、整頓とはきれいに並べることではなく、使いやすくすることであるという根拠でもあります。こに何がおいてあるか分かっていて表示が必要ないほどの経験がある場合でも、モノを取りに行く時間や探す時間が発生していないかという視点で考えましょう。「どのように置いたらそのようなムダがなくなるか」考え実行しましょう。

 

※元に戻す器具や備品などは、元に戻すときに乱れる

※元に戻さない材料などは、取るときに乱れる

 

3)「清掃」の進め方

清掃とは、職場を清掃・点検し、汚れた箇所や点検することですが、業務内容によっては特別な環境を必要とする職場がありますので、それによって違いがあります。

レストランなどの厨房の清掃の目的は、安全で美味しい食事をつくるために、常に清潔で衛生的な調理場の環境を確保することです。5Sの中でも清潔に与える影響が最も大きいのが清掃です。清掃が不十分であった場合は、食中毒菌の増殖を助長させる原因や、食事への異物の混入の原因をつくることにもなります。
清掃しっぱなしにならないようにしましょう。清掃することが目的になると作業台を拭くこと。ゴミ捨てが終わることで満足してしまいます。また、5S活動では清掃結果を点検する必要があります。特に洗浄殺菌が必要な箇所については、マニュアルの手順に沿って清掃することと、その結果を点検し記録を残すことが大事です。

1.清掃場所を決める
材料置場、作業室、倉庫、トイレ、休憩室などの清掃場所を洗い出す。理由があって対象から外す場所、壁との隙間などまで詳細に決める。そうしないと、ここはめったに使わないから対象外だと自己都合で決めてしまいます。

 

2.清掃担当を決める
清掃担当表を作成し割り付け掲示する。共同使用場所は当番制が好ましい。各区域の清掃責任者を決める。

 

3.清掃方法を決める
清掃対象の一つひとつについて、ホウキ、モップ、布巾などの何を使うか決める。

 

4.清掃道具を準備する
清掃対象の一つひとつについて、清掃用具を洗い出し、必要数の用具を決められた場所に用意する。

 

5.全員参加で実施する チームワークの基本です
何時から・何分間行なうのか決め全員で実施する。

 

6.清掃後のチェック
ゴミや汚れを取り除くだけでなく、掃除をする過程で細部まで点検し、微生物や衛生害虫の発生しない状態になっているかチェックし記録を残す。

 

7.汚れの発生源対策をする
① ホコリ、汚れ、ゴミに気づく眼を持つ。
② 汚れたら、その場で取り除く。
③ 汚れの発生源を絶つ。

 

 [課題]

清掃記録表に記載されていない箇所はどうするのか?それらの清掃記録はどこに書くの?清掃範囲と方法があいまいになると塵や埃がたまりやすい。


[対策]

清掃計画表は作業場の業態や規模に応じて様々なものが使われていますが、清掃計画表に書いてある対象箇所と現場が一致しない場合は、見取り図などを使用する。

特に清掃においては、手順と判定基準を教えないと清掃は定着しません。なぜなら、清掃は職場環境に大きな影響を与えてしまうからです。例えば、病院の清掃、半導体製造のクリーンルーム、衛生管理の必要な厨房などの清掃においては、手順と判定基準に基づく規定が必要です。

 

 

4)「清潔」の進め方

 一般的には「清潔」の意味は、汚れがなくきれいな職場を指していますが、5Sの「清潔」は、「整理」によって不要品がなくなり、且つ、「整頓」によって必要なものの3定管理ができ、「清掃」によってこの状態が維持され定着していることを「清潔」といいます。しかし、「清潔」には職場環境の違いによって色々な定義があります。特に食品関連では、食品に微生物汚染、化学物質汚染、異物混入などの悪影響が起こらない環境と定義されていますので、特に「清掃」に対する範囲や行動内容が違います。

 

1.整理・整頓・清掃の正常、異常の判断基準を明らかにする

2.日常の活動に落とし込まれている

3.全員が3Sを実践し、実施状況を定期的にチェックしている

4.整理・整頓・清掃の3Sが定着している

5.社員全員の取り組みにより3Sが維持されている

  

[課題]

清潔やきれいという言葉の意味は環境によって違いますが、整理、整頓、清掃を維持することですので、しつけと似ていますね同じことになりませんか?

 

[対策]

清潔は「整理」「整頓」「清掃」の維持ですので続けることが目的です。従って、汚したくないという気持ちで職場環境をきれいな状態を維持しようという気持ちを育てることです。機械加工品の切削クズが散乱して床を汚すので、容器を置いて容器の切削クズを定期的に廃棄するルールを作ったという改善では、容器を置くのは清掃の発生源対策で、定期的に廃棄するルールを守るのは躾になります。このように、5Sは相互に関連しています。

 

 

5)「しつけ」の進め方

決められたルールを正しく守る習慣をつける方法です。5S活動のしつけは5Sのなかでも一番難しいと言われています。

1.守るべきルールを明確にする
5Sのルール、規定・基準、作業標準書、作業指示書、緊急時の支援体制等の業務に必要なルール。

 

2.相手が理解するように指導する
・朝礼で周知する。
・誰が教育するのかを決める。

 

3.観察
推進リーダーによる監視と指導を行う。
・不要なものを置いていない。
・モノが乱れない。
・職場が乱れない。

 

4.ルールが守れない場合の対応
理由を確かめて改善する。
① なぜ、守れないのか原因を明確にし、指導する。
② コミュニケーションの充実や、やる気を起こさせる。

  

[課題]

整理、整頓、清掃、清潔の4Sを徹底し、不要なものが出ない整理、乱れない整頓、汚れない清掃、崩れない清潔を実行して習慣化を進めていますか?

 

[対策]

5S活動の「しつけ」は5Sの中でも一番難しいとされています。最初の一ヵ月間は続けることができても、1年、2年と継続できるように人の行動を変えるのは難しいことです。例えば、整理は不要物のリストアップや、不要物の廃棄処理手続きや報告書まで全員で手分けして実施します。記録は人の異動や設備の交換などがあっても、5S活動を停滞させることなく続けるためになくてはならないものです。



 

 

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5S活動とは?業界や組織の目的にあった5Sの構図と進め方

                                                                                                                                                                                                                                                                           

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 5Sという言葉は1955年頃から使われ1980年頃には「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」が5Sとして一般化したといわれています。職場環境の改善活動はこうでないといけないという決まったものがあるわけではありませんが、製造業から始まった5S活動は、今や病院、店舗、オフィスなどのサービス業へも広がりを見せています。

 

5S活動のいろいろ

多くの組織で実施されている5S活動は、「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の5Sを基本に、「整理、整頓、清掃」の3S活動 や「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、洗浄、殺菌」の食品会社の7S、このほか、組織の方針によって、2S、4S、6Sや8Sなどが実施されています。このようなSシリーズの活動を宣言していない多くの企業でも、職場安全活動や明るい職場作りなど何らかの取り組みがなされています。

先ず、基本となっている5S、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketsu)、躾(Sitsuke)を取り上げます。その定義は次のとおりですが、組織によっては自社の用語を使って、多少変えている組織もありますが基本的な考え方は同じです。
   
 ① 整理(Seiri)
   要る物と要らない物を区別し、要らない物を処分する
 ② 整頓(Seiton)
   置き場所を決め、いつでも、だれでも使用できるようにする
 ③ 清掃(Seisou)
   ゴミや汚れのないきれいな状態を保つ
 ④ 清潔(Seiketsu)
   整理・整頓・清掃された状態を保ち、きれいな状態を保つ
 ⑤ 躾(Sitsuke)
   決められたルールを正しく守る習慣をつける

 この定義をよくみると、④は整理、整頓、清掃の3Sの維持であり、⑤は整理、整頓、清掃、清潔の4Sを実践するための規律として存在していますので、実質的に職場の環境を改善する行動は整理、整頓、清掃の3Sになります。このような理由から3S活動に力を入れている企業もあります。また、厚生労働省の飲食店の労働災害防止マニュアルでは、4S活動は職場の安全と作業者の健康を守り、作業効率アップの教育プログラムであるとの説明もあります。

一方、食品関連企業においてはいわゆる製造業の5Sでは食品会社の職場の環境を維持できません。その理由は、食品会社においては食中毒菌等の微生物レベルの清潔を維持することが大前提となっているからです。この微生物レベルの清潔については色々な考え方があります。これらの考え方の違いは、「清掃」と「清潔」をどのように定義するかで決まります。その一つは基本の5Sの「清掃」と「清潔」を次のように微生物レベルで定義する方法と、洗浄、殺菌を追加する方法の二通の考え方があります。

 

一つ目は、基本の5Sのままとすることです。
1) 整理、整頓、清掃、清潔、しつけ
  清掃:微生物の除去、化学物質汚染や異物混入防止、及び設備点検が含まれる
  清潔:調理機器、器具は洗浄・殺菌を行い、微生物学的にもきれいな状態にする
2) 整理、整頓、清掃、しつけ → 清潔  
  清掃:ゴミや汚れのないきれいな状態を保つ、洗浄・殺菌を含む
  清潔:5Sが定着しており微生物学的にもきれいな状態を保つ、目的である
3) 整理、整頓、清掃、修理・修繕、しつけ→  清潔 
  清掃:ゴミや汚れのないきれいな状態を保つ、洗浄・殺菌を含む
  清潔:5Sが定着しており微生物学的にもきれいな状態を保つ、目的である

 

二つ目は、基本の5Sに「洗浄」と「殺菌」を追加して7Sとすることです。
3) 整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、洗浄、殺菌
  清掃:ゴミや汚れのないきれいな状態を保つ、設備点検が含まれる
  清潔:整理・整頓・清掃された状態を保ち衛生的な状態を保つ、目的である
4) 整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、洗浄、殺菌、整備  7S+整備
  清掃:ゴミや汚れのないきれいな状態を保つ
  清潔:整理・整頓・清掃された状態を保ち衛生的な状態を保つ、目的である

このように色々な方法がありますが、企業の業種、業務形態、管理レベルなどの組織の実態に応じて最適な定義を設定する必要があります。5Sとは〇〇だと一律に定義づけることは困難です。自社にマッチした5Sを定義することが大事です。

 

 (参考資料) 
・上記3)の7Sは、食品衛生ネットワークが2003年から提唱している活動です。

・洗浄とは、食品製造加工施設や設備・環境の食品残渣などの汚れ及び有害微生物を除去することです。
・殺菌とは、見た目のきれいさだけでなく、微生物汚染度を更に減少させ許容基準以下にすることです。


<間違った整理整頓>
整理整頓は、きれいに並べ直したり積み直したりする整列や、見た目にきれいに並べる陳列とは異なるものです。
今まで作業台の上にあった物を作業台の下に置くと、作業台の上はすっきりときれいになり気持ちいいでしょう。しかし、使用するたびに作業台の下から引っ張り出さなくてはならなくなり、効率は下がってしまいます。これは5Sとは言えません。5Sの整理整頓とは、実行することで「探すムダ」や「見分ける手間」が省かれて作業に専念できることなのです。

 

サービス業の5S活動

サービス業と一口に言っても幅広い業種があるので、業界によって職場環境に大きな違いがあります。今回は5S活動の導入が難しい外食産業について考えます。
製造業から出発した5S活動は今や全産業分野で大きな広がりをみせていますが、活動が形骸化した、効果が出ない、活動が続かず元の状態に戻ったなどの話をよく聞きます。これらの原因のほとんどは5S活動を推進するうえで必要な、トップの理解、人、時間、場所、改善、リーダーシップ、チームワーク等に問題があるということになるのですが、最も大きな理由は、業種の違いや会社をとりまく内外の状況の変化ではないでしょうか。
5Sの定義や考え方は全産業において効果があり普遍的であると言われています。これは5Sとは何かという論理的な定義についてのことであり。手法や進め方などについて型にはめることは困難です。「ある企業で成功した5S活動も他の会社ではうまくいかない」「三年前まではうまく機能していたが、最近同じことをやっても効果がでない」というような変化があるのは当然のことです。製造業からサービス業界に入り5S活動を推進するにあたって以下に列挙した事柄を考慮し、変化に対応した進め方を自ら工夫して進めていく必要があります。これはサービス業だけでなく業種を超えて5S活動を進める時の注意点であるとも言えます。

[品質のレベル]
車や電気製品の製造工場のように5S活動が徹底的になされ世界的にも品質が認められた企業では、徹底的に5S活動や5Sという言葉を使わなくても職場環境の改善活動を実施しています。このことは、食品業界や病院においても同じことで要求品質を確保するためには5S活動は欠かせません。5S活動ができている企業はその製品品質もすばらしいものです。

[安全への関心]
最近、マンションの建設現場に安全第一と一緒に「5S活動推進しています」という看板が貼り出されていました。危険と隣り合わせの職場では徹底した5S活動がなされています。一方、外食産業では食品安全が重要なウェイトを示しますが調理の過程で床にこぼれた油のために転倒するというような労働安全もあります。

[教育・訓練の必要性]
社員には、正社員、契約社員、パート社員などの異なる勤務形態の人々が働いています。特に、厨房においては多くのパート社員が勤務しています。これらの異なる勤務形態の人々が同じく5S活動に対する共通認識を持つことができるとよいのですが、多くの場合はそうではありません。また、人間は間違いをおかすものですが、業務における間違いがどの程度許されるかは、その作業の重要性や安全性により変わってきます。
工業製品の製造の場合は人と話をするのが苦手な人でも手順書どおりに作業をすれば問題ありませんが、サービス業の場合は多くの場合、人が相手ですので笑顔で話ができない人は、相手を喜ばすサービス業においては良い仕事ができません。このように個人の性格など人間的側面が重要視されます。

[作業場所の特殊な環境]
食品関係の「清潔な厨房」や「病院の無菌室」、半導体製造工場の「クリーンルーム」など、要求品質を作り込むためには特別な職場環境が必要な場合があります。特に、外食産業では微生物レベルの清潔な環境、異物混入のない環境が必要です。

[設備機器の活用]
工業製品に限らずサービス業においても設備器具の不具合により、問題が発生することが少なくありません。設備の自動化の程度もまた影響を与えます。古い機械を丁寧に使っている工場と、最新の設備とでは環境が異なります。

[職場の管理レベル]
現場における目標管理、啓発活動、改善活動、不良対策、作業手順書の作成など実施レベルに影響を受けます。5S活動は現場で運用されている管理システムに沿って運用されます。そうでないと、5Sのために特別なことを押し付けられてしぶしぶやるということになりかねません。例えば複数の工場が存在している企業においては、各工場の管理のレベルにあわせて運用手順を決めなくてはなりませんが、A工場では5S監査員がいて自社で5S監査できるが、B工場では監査のできる人材がいないので、A工場から応援にきてもらって5S監査を実施しているということもあります。

[企業の5S目的]
トップに叱られた時だけしぶしぶやる5S、建前だけは5Sをやっている会社など様々ですが、過去において、厳しい苦難を経験したオーナーがいる会社は本気で5S活動がなされています。

[業種]
自動車や電気製品など古くから5S活動が盛んな業種から、最近、経営環境の厳しくなった医療業界や厳しい顧客の目が注がれている食品メーカーなども5S活動が盛んになってきました。さらに、常に危険がつきまとう建設現場や化学工場などでも地道な取り組みがなされているようです。

[組織の大きさ]
一般的には大企業と中小企業とでは売上金額、社員数などに大きな差があります。その結果、5S活動を担う社員数や活動テーマ数など運用の規模が異なってきます。特に、一人でいくつもの業務をこなさなくてはならない中小企業においては、5S活動を担う組織や担当者が曖昧になり積極的な活動がなされない傾向にあります。

[全員参加]
自動車や電気製品など製造工場を有する職場では、全員参加の委員会やミーティングなどが容易である組織もあれば、運送業など絶えず外で走り回っていて、全員が集まるのは年に1回という組織もあります。

特に人手不足である食品業界はパート社員によって支えられており、その割合は50%以上というとこらが殆どではないでしょうか。このような状況下では就業後にミーティングの時間を設けることは困難です。

一方、パート社員比率の少ない組織においては、正社員が中心になって5S活動を進めることが可能です。また、通常パート社員は時給いくらでという条件で毎月契約更新しています。

このような条件で働いていると会社への帰属意識は低いものになり、内部のコミュニケーション能力に影響を与えます。 以上より、パート社員比率の高い職場では、時間内にミーティングを開く必要が出てきます。あるいは、時間の確保がパート社員より比較的容易な正社員が、ミーティングの準備や資料を作るなどの検討も必要です。

     

5S活動の目的

先日、食品関連会社勤務の知人と話をする機会がありましたので、5S活動がうまくいっているか聞いてみたところ、「5S活動をやることを目的してやって問題ないだろう、だって、やればムダがなくなるなどの効果がついてくるのだから」という趣旨の返事を聞き、以前、5Sの目的について議論したことを思い出しました。

今回は食品会社ですが、従来の5Sの「清掃」の中に洗浄を、「清潔」の中に殺菌を含めた5Sの定義で活動しており、最終的な目的は微生物レベルの清潔になります。つまり、清潔に関連する事柄を5S活動の目的と決めなくても、5Sをやっておれば結果として清潔になるから良いという論理です。こうなると、5Sの問題というより目標管理の問題として取り扱う方が適切と考えられます。KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)やKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)から見ると何らかの目標となるものが必要と考えられます。

最近5S活動の効果に疑問を投げかける人がいます。その理由は、5S活動にかける時間に対する効果が少ないということ、更には、行き過ぎた5S活動により、かえって不便になっているのではないかということです。5Sを徹底するために業務効率を低下させていたのでは本末転倒ということです。しかし、なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。

その主たる要因は、5S活動そのものが目的になっているからではないでしょうか。例えば、「帰る時には机の上にはモノを置かない。」と決めたとします。その結果、ある人から、かえって能率低下になるとクレームがあるようなケースです。なぜでしょうか?これは、5S活動そのものが目的となっているためであり、なぜ帰る時には机の上にはモノを置いたらいけないのかについて話し合っていないからです。皆が思い思いの意見を言いまとまらない?そんな状況では、後日問題となるのは明らかです。

 

5S活動とは徹底すること

5S活動とは5Sを徹底することだとよく言われますが、どういうことか具体的にいうと「5Sの定義を徹底して実行すること」と言い換えることができるでしょう。例えば、整理では、「必要なものと不要なものを区別して不要なものを処分する」これを徹底することです。しかし、徹底という言葉はあいまいで人によってその認識に差がありますが5S活動の徹底は次のような行動を実践することであると言えます。職場環境のバランスをとりながら進める配慮が必要です。

整理
整理における徹底とは、不要なものはすべて廃棄し、不要品が発生しなくなるまで繰り返し改善する。 

整頓
整頓における徹底とは、例えば、仕事がすぐに始められるように置き場所や置き方、 表示の見える化を工夫し、必要な時に必要なものが直ちに使用できるように改善する。

清掃
清掃における徹底とは、仕事場を清掃・点検し、汚れた箇所や点検で発見した問題の原因を明らかにして改善する

清潔
清潔における徹底とは、整理・整頓・清掃を継続して、ムリ、ムラ、ムダのない職場を維持するために絶えず改善する。

しつけ
しつけにおける徹底とは、仕事に関するルールを理解させ、ルールを守れる人材を育成する。

 

もう一つ重要なことは、5Sは、整理→整頓→清掃というようにシリーズではなく、すべてが相互につながっているということです。このつながりをスムーズに動かす潤滑剤の役割をなすのが「しつけ」であるということです。「しつけ」は決められたルールを正しく守る習慣をつけると定義されており、以前は、他の整理、整頓、清掃、清潔のルールを守ることだとされていましたが、近年は業務に関連するすべてのルールと理解されています。これには、整頓や清掃手順だけでなく、職場ルールや製品規格、作業標準書などすべてが含まれます。

人を育てるという考えであった5Sの「しつけ」は、ISOの教育に対する考え方や派遣社員外国人労働者への対応に見られるような人手不足の時代になり益々重要視され、「しつけ」を5Sの基本に据える考え方へ変わってきました。

さらに、5Sの定義にあるように5Sの手法そのものが改善ですので、改善前後の職場環境がどのように変わったかに関する改善結果の確認が必要です。

 

仕事の瞬間、瞬間で5Sを実践

私は最初に工業製品の5Sを進めましたが、サービス業の分野においては上記の「環境」の清潔、「教育・訓練」におけるヒューマンエラー、「全員参加」のミーティングの実施において、大きな違いがあることが分かり進め方を変えました。
先ず実施したのが5S活動の時間の確保です。5S活動は単に職場をきれいにするだけでなく、仕事の中で5Sを実践することにより次のように、作業がスムーズ実行され業務改善にもつながります。作業を実施しているその場所、その瞬間に5Sを実践します。
1.作業の見える化
仕事のその瞬間、瞬間で必要なものと不要なものを仕分けることにより、何が終わって何が終わっていないか「見える化」されます。
2.作業効率アップ
先入先出はもちろん、作業の順番や使用頻度に基づく食材や器具の配置で作業がスムーズに流れ、作業ミスも減少します。
3.職場の環境をよくする
5S活動により職場内のコミュニケーションが良くなり、みんなから改善のための知恵が出てきます。

 

5Sの「しつけ」について一言

5Sの中でも特に大事なのが「しつけ」であり、その定義にはこれだという決まったものはありませんが、一般に次のような説明が含まれています。

  1. 決められたルールや規律を守ること(3Sの定着、習慣化)
  2. 決められたルールに従って行動している状態(定着、風土)
3Sが定着し、決められたことを守れる風土になっている状態(1,2を合わせたもの)

  

さて、「しつけ」とは「決められたルールを正しく守る習慣をつけること」と定義されています。

5Sを実践するための潤滑剤である「決められたルール」とは?

決められたルールには、次のようなものが該当しますので、これより「しつけ」は社会生活の上での土台であるということが良く理解できます。


1.5Sのルール
  職場で5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)について決めたこと
2.会社のルール
  就業規則、業務管理基準、標準作業など
3.社会のルール
  ・交通規則などの法令、業界団体の規則などの法令等
  ・一般常識といわれる挨拶など

「正しく守る」とは?
「しつけ」は教育・訓練と言われています。「親の子に対するしつけ」、「学校でのしつけ」などを思いだす人も多いでしょう。しかし、仕事においては子供のしつけと違い簡単ではありません。先ず、正しく守るためには、ルールを正しく理解する必要があります。

「習慣をつける」とは?
教育・訓練を受け正しく理解したら、必ずルールを守ることができわけではありません。ルールを守るためには「納得」が必要です。納得とは、守らないとどうなるかということを、そのとおりだと認めることです。ルールを教育・理解・納得することが必要ということです。では、人は納得すれば習慣になるのでしょうか。これについては、Webの5Sの関連記事で事例を見つけましたのでそれを紹介します。 

[ 納得すれば本当に習慣づくのでしょうか ] 抜粋
例えば、車のシートベルトは殆どの人が毎回きちんと締めます。交通ルールを守っているのです。しかし、スピード違反を一度もしたことがない人はゼロに近いのではないでしょうか。捕まる、捕まらないは別として、時速30km制限の道路で、制限速度を守って走っている人は少ないと思われます。なぜシートベルトは守って、スピードは守らないか。それは、シートベルトをした方が安全というのは納得しているからです。しかし、時速30km以下で走らないと安全ではない、というのはあまり納得していないのです。人間、本来納得すれば実行するようになるのです。

  

5S活動を続ける秘訣

5S活動を開始するに当たっては決起集会をやって・・・など、コンサルタントの記事をよく見ます。以前、知り合いのコンサルタントに話を聞いたことがあります。5Sを開始した最初の一年間ほどは活動も活発に行われ成果が上がり、社長も満足されるが、2~3年経過して久しぶりに社長に会い、その後のようすを伺うと、最初の一年間は活発であったが、今は熱が冷めたように5S活動を開始する前の状態に戻ってしまったと嘆いておられたという話を聞きましたが、このような組織も少なくないようです。一時的なコンサルではなく後々まで続けられるように、コンサル後の道筋をしっかりと付けることの重要性を示す良い事例でした。

5S活動の実施事項を決めるのはだれでしょうか、よく個々の要望を聞いていたのでは進まないという話を聞きますが、現実を無視した、いや現実に配慮せずに進めること事態に問題があります。5S活動を始めるにしても、コンサルタントを呼んでキックオフ大会を開いて進めたほうがうまくいく企業もあれば、じっくり進めた方がよい組織もあります。患者の治療も、手術が必要な患者もいれば、漢方が良い患者など様々です。重要なことは、その患者のことを良く知り、適切な治療法を見つけ実施することです。

 
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5S活動の目的を理解していますか?

「どのような成果が得られるのか」ということを自覚していないと、5S活動そのものが目的になってしまいます。

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全員の役割を決め、関係する人の意見を聞いていますか?

自分が何らかの役割を分担するということは、主体者意識を持つことになるからね。

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5S活動で対象とするエリアを明確に決めていますか?

5S活動を実施するエリアを特定していないと、漠然としてうやむやになって進めることになってしまうからね。

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5Sの指導者の部屋やその机の上はきれいで手本になっていますか?

現場の人から「自分はできていないのにやれというのか」という反発の声があがる可能性があります。

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ところで、5S活動は順調に進んでいますか?

5S活動の目的や成果を共有することによって、5S改善活動を進めています。

帰る時に机の上にモノを置かないというのは、机の上に置いてあるのは何か、机の上のモノの置き場所が他にあるのか、机の周りは整理されているのかなど、ルールを決める前に十分に調べ実施の可能性を見極めることが重要です。単に仕事の連続性の問題だけでなく、業種や組織のおかれている環境によって色々な方法があるということです。

 

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5S改善!現場力と5S改善シート 

                                                                                                                                                                              

 
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多くの企業で長い期間に渡って5S活動に取り組んでいても、なかなか定着しないため苦労している方も少なくありません。また、一時的に5S活動が盛んであった企業もいつのまにか元の状態に戻ってしまったという話もよく聞く話です。「徹底して5S活動をやろう」という掛け声だけでは継続できるものではないことは、5S事務局や5S活動にたずさわっている多くの方がいやというほど経験しているのではないでしょうか。

多くの場合、先ず、職場を整理・整頓してきれいな職場にしようという美化運動から入るため、「ほぼ満足できるきれいな職場になった場合」又は逆に、「きれいな職場が長続きせず元の状態に戻ってしまい継続できなかった場合」など、いずれの場合でも次の段階へステップアップできず、定着しない場合が多くあります。それは、掃除をすることが目的となっていた場合に起こりやすい落とし穴です。
 
・異物混入防止などの具体的な目的がないため、自分の意志ではなく、指示に従ってイヤイヤやっている。あるいは、言われたところだけ、5Sチェックで指摘されたところだけやるようになります。

・このように5S活動をやっているといっても、トップを含め積極的に実施している企業から、言われた時だけしぶしぶ整理整頓する企業までかなりのギャップがあるようです。

 しかし、このような状態は5S活動の目的を明確にすることにより、下記に記載した「5S改善」により継続可能です。

 

※組織の現場力が低いうちは他からの支援が必要です。このような組織もギャップが大きいのですが、各部門の支援の責任を明確に決めたしくみをつくることにより積極的な活動ができます。これは、言われた時だけしぶしぶやる組織とは違います。

 

 

5S改善を進める現場力

現場力とは企業の現場における自律的問題解決能力と言われていますが、一言で表現するならば「現場で働く人の行動力」ということです。つまり、それぞれの販売店において問題を発見し、解決していく能力のある店舗ということができます。そして、現場力を高めるための具体的な三つの能力を食事サービスにあてはめてみますと次の三つになります。   

1.店舗で発生する様々な問題を自ら解決する力   

2.店舗の一部の人だけに任せるのではなく、全ての人が知恵を出し合って参加す協調性のある組織力   

3.現状に満足せず、高い目標を持って推進する力   

現場力とは自ら問題を解決する力ですから、問題が何かを理解することが必要です。問題を問題と気付かなければ改善は望めないからです。   

例えば、レストランのあるべき姿は、美味しく安全な食事を提供することであり、クレームのない楽しい食事を提供することです。これに近づくために具体的な行動を決めます。それが、衛生管理、異物混入防止やお客様応対ルールなどの標準類です。しかし、現場では、献立変更や注文の変更などいろいろな要因によって、これらの標準や規定どおり実施されていないという出来事が発生する場合があります。

このような標準や規定どおりに実施されなかったという現状とのギャップのことを問題としてはっきりと認識することが必要です。食事提供のミス防止のチェック方法や調理器具の置き場所の識別は店舗で決めたルールですし、手洗いや提供時間に合わせて調理するのは衛生管理です。これを順守できなかったら問題と捉え、再発しないように解決する力が現場力になります。   

現場力を向上させる最も基本となるのが「5S活動」です。5S活動を積極的に推進している店舗は、品質向上や衛生向上についても顕著な効果をだしているからです。美味しく安全な食事を提供するために5S活動をしっかりと取り組めば、物の整理整頓から作業の整理整頓へと進み現場力は向上します。経験の浅い職場や小さな職場においては、5S活動をやりなさいと言っても何をやってよいのか分からないという場合があります。そのような時は、それぞれの職場の現場力に応じて支援する必用があります。しかし、考えてみたいのは、どのような状態の時に支援すれば良いのかということです。考慮すべきことは人の能力や特性を考慮せずに判断することができないということです。


<非協力的な職場>
組織には非協力的な人が必ずいるものです。そのような組織の5S活動はどのように進めれば良いのでしょうか。

 

<予防整頓>                                                   食材料は使用する材料をとった後が乱れる!                                          調理機器・器具は元に戻すときに乱れる!

 

5S改善

企業の狙いとする効果に結びつく目的でないと5S活動は長続きしません。例えば、食品会社のように清潔な環境が基本となる職場では次のような効果を期待するでしょう。また、業界で一番になる、誇れる職場づくりなどを目標に改善を進めることになります。

1) 衛生管理の徹底       → 衛生の5S
2) クレームの撲滅                    → 不良対策5S
3) 労働時間内の業務      → 人件費削減5S
4) 新商品の開発        → 開発5S
5) 原材料費の計画内の使用   → 材料費削減5S
6) ルールが守れる積極的な人材 → 人材育成5S

    

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5S改善事例

5S改善の結果は、5S改善シートを使ってまとめます。改善前後の写真を載せ簡単な説明を添えましょう。改善シートのもう一つの目的は、時間とともに元の状態に戻るのを防ぐという大きな役割があります。

改善結果は「改善シート」を作成します。この改善シートは、改善前と改善後の写真をで比較し見える化するものです。これによって、改善内容を詳しく理解すると同時に、写真を残すことにより改善結果を忘れることのなく維持するためにも有効です。

 

事例 1.

[5S改善の目的]
キャビネットに置いてある検査表やチェックリストは種類が多く、探すというムダが発生しているので、1分以内に取り出せるようにする。

 

[現状把握]
キャビネットの棚の上に置いてあり、大まかな区分はしてあるがキャビネット の外からはどの棚に何が置いてあるか分からない。慣れてくるとどこにあるかを覚えてくるので今まで大きな問題になっていなかった。

 

[取り組み内容]
・整理  必要な書類と不要な書類を区分する

・整頓  関連性のある種類ごとに区分する

・清掃  使用頻度の少ない書類は一冊にまとめる

・清潔  使用頻度の多い書類は目的別に色分けしクリアケースに入れる

・しつけ ミーティングを行い、整理後の配置や書類の内容や使用方法を周知する

 

[効果]
① 従来13種類あった書類は11に減らすことができた

② 全てがキャビネットの、どこに、どの書類があるか一目で分かるようになった

③ 全員がどんな書類でも1分以内に見つけることができるようになった

 

[改善シートの記録]

改善結果は写真を撮って改善シートを作り、改善の前と後の比較ができるように見える化します。必要に応じて写真だけでなく説明を加えると同時に、何がどのように変わったのか説明を加えます。改善効果についても、金額や時間短縮など把握できる範囲で詳細に記載し継続的ない5S改善につなげます。

 

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 2.
[5S改善の目的]
工場で発生した返品や修理品は確実に仕入業者に渡し、引渡しの遅れや紛失をなくす。併せて、仕入業者との良好な関係を築く。

 

[現状把握]
材料倉庫の入口の棚には、返品や修理品がむぞうさに置いてあり、仕入業者の担当者が来ても該当する返品や修理品を渡し損なうことがあった。さらに、来社頻度の少ない業者には引渡しが遅れ、返品のタイミングを逸してしまうものまで発生していた。

 

[取り組み内容]
・整理  返品や修理が発生した時点で業者の担当者に電話連絡する
        不良在庫、滞留在庫を作らない
・整頓  業者ごとに専用の箱を作ってその中に入れる                                 
・清掃  掃除の時に専用箱を確認し、忘れがないか確認する
・清潔  毎週返品や修理の発生状況を集計し確認する
・しつけ 業者が簡単に業者に渡るように手順を周知する
        
[効果]
返品や修理品をすばやく仕入業者に渡すことが出来るようになり、仕入業者とのコミュニケーションの増加により良好な関係が構築できた。

 

[改善シートの記録]

改善結果は写真を撮って改善シートを作り、改善の前と後の比較ができるように見える化します。必要に応じて写真だけでなく説明を加えると同時に、何がどのように変わったのか説明を加えます。改善効果についても、金額や時間短縮など把握できる範囲で詳細に記載し継続的ない5S改善につなげます。

 

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事例 3

[5S改善の目的]

改善には上記のように写真により見える化できない場合もあります。例えば、指示書の到着遅れにより作業が遅れ、期限を超過するような手順やしくみに関係する場合です。

 

 

 

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5S活動 5S活動をヒューマンエラーの予防に役立てよう

                                                                                                                                                                                                                

1.ヒューマンエラーとは
レストランなどの外食産業で発生する異物混入や配膳ミスなどのクレームの多くは、決まっていることをやらなかったため、あるいは禁止されていることをやったために発生していますので、それらはヒューマンエラーに該当します。また、衛生環境をいくら整備しても、守るべき手順を無視すれば事故は必ず発生します。手洗いやまな板の使い分けなどの手順を無視すると衛生問題が発生します。また、毎日の繰り返し作業につきものなのが、「思い込み」や「慣れ」による間違いです。このようなヒューマンエラーは、その発生した原因別に次のように分類できます。

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2.ヒューマンエラーの種類
下記の参考資料をもとにヒューマンエラーを分類してみました。

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図の1)から7)について具体的な事例を下記に説明します。


1) 無理なこと(認知能力の限界) 
無理な事とは、人の能力を超えた作業があった時に、それに対応できずにエラーが発生する場合です。

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それって無理なこと!

           人の認知能力の低下を考慮して対応する!

 

例えば、パーティー参加人数を口頭で15人から17人に増やすように連絡を受けた時に、17人ではなく18 人と聞き間違ってしまったというようなケースがこれにあたります。
人の五感にも限界があります。
大事なことは口頭ではなく、必ず文書で連絡する、受け取る時も文書で受けるというのもこのような間違いを防止するためです。過去に口頭で言ったことが相手に伝わらなかったために発生した事故は少なくありません。
無理な事とは、このように人の認知能力の限界を超えたために発生するエラーです。
(事例)
注文書の文字が小さく見にくかったので、「オレンジジュース」と書いてあるのが分からずオレンジジュースを付けなかった。
(説明)
これも担当者の視力の低下という認知能力の限界を超えた作業のために発生したエラーです。人は大人になり年をとると年齢とともに視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚の五感や体力も低下していきますので、人のこれらの能力と作業負荷には、常に注意を払わなくてはなりません。この場合、5Sの識別管理を利用し文字の大きさを〇〇mm以上と決めておくことによりこのような事故は防ぐことができます。

 

2)うっかり(勘違い)・・・人間の特性「行動」

指示書の見まちがいや思い込みによる間違いがこれに該当します。ミスの原因の中でも、うっかりによるミスは少なくないようです。このようなミスは誰でも経験し、苦い経験があるものです。

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やっちゃいました・・・

          でも、整理ができているとミスはおこりにくい!

(事例)
在庫してある経管栄養剤を取りに行った栄養士〇〇さんは、いつも棚の右側に置いてある経管栄養剤Aが左側に置いてあったので、経管栄養剤Bを間違って手に取りトレーにセットした、その後のチェックでも間違いが発見されず、患者様に配膳された時に看護師の方が気付いた。
(説明)
このような取り違いを防止するためには、次のような対策が考えられます。


[とり違いによるうっかり防止]
a. 同じ所に置かない
間違いやすい物を同じ所におかなければ、取り間違う可能性がなくなります。
b.ルールを作る
同時に異なるものを取り扱わないなど、「しくみ」を作る。
c.色や形で見分けるための識別をつける棚に置き場所の表示をすることは当然のこととして、例えば、マーカーで献立表の経管栄養剤Aを緑色に、経管栄養剤Bを黄色に色を付けて識別するというようことです。これらa,b,cの5Sの識別管理に加えて次の指差し呼称で防止することが可能です。
d.指差し呼称をする
間違い防止のためによく使用される方法に「指差呼称」という方法があります。この場合、注意が必要な事は、識別する部分を確認するということです。例えば、この事例の場合、「経管栄養剤よし」では不十分であって、「経管栄養剤Aよし」というように、識別が必要な部分の「A」を言わなくては十分とはいえません。
この時、声を出して、指でさすことが重要であるといわれています。声を出すことで大脳が一斉に活動すること、また他の事を考えられないために集中できるメリットがあるといわれています。

[指差し呼称]
連絡表から作業指示書に書き写す時の間違いを防止するための指差し呼称

配達先を6号棟東を6号棟西と書いてしまったというミスについても、同様のことが言えます。この場合、「6号棟よし」では不十分で、識別箇所の東を入れて、「6号棟東よし」でないといけないということです。この手のミスはベテランになればなるほど増えしかも頑固です。

 

[思い込みによるうっかり防止]
a.思い込みに合わせる
思い込みによるヒューマンエラーの場合は、「思い込みに合わせる」という対策があります。例えば、調理の時、塩と砂糖の調味料をよく間違うので容器の形状を替えて区別していたが、いつも右側に砂糖があると思い込んで間違っていたので、対策として左右を入れ替えたというような場合です。このように、思い込んでいる状態に現状を変更して一致させることです。
b. 統一する
ここでいう統一するとは標準化のことです。例えば、調理機械を同じものに統一して操作ミスをなくするなどがあげられます。
c. どちらでもよい
どちらでもいけるようにすること。融通を利かすことです。
d. 識別表示ははっきりと
明瞭な表示などによって防止しようというものです。
e. 最悪の状態を考える
最悪の事を考えて行動することです。今まで大丈夫だったからという理由でリスクを甘く評価してはいけません。例えば、たびたびトラブルを起こしていた炊飯器が、ある日スイッチが入らなくなったが、今回もすぐ良くなるだろうと原因を調査しているうちに時間が経過し、予定どおりに食事を提供できなかったというような場合です。このような時は、ごはんが炊けず食事が時間どおり提供できないという最悪の状態を考えるということです。
f. 落ち着いて一歩引く(視点を変える)
問題から一歩引いて、客観的な目でみることです。例えば、何回計算しても食数が一致しない場合に、見方を変えて先月の実績と比較しながら確認したところ、数字を読み間違っていたことが分かったというような場合が該当します。

 

3)し忘れ・・・人間の特性「行動」

し忘れはラップスとも言われ、会議の予定を忘れてしまい会議に出席しなかったというようなミスで、よく経験することです。

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すっかり忘れちゃって・・・

                                 人は忘れるということを理解しないといけないのだが!

(事例)
し忘れは毎日のように私たちの周囲で発生しています。取引先から請求書を受け取ったが来客があり忙しい日であったので、後で処理しようと思っているあいだに忘れてしまい指定の支払日までに処理できず信頼を失う事態になった。
(説明)
この問題では、請求書を受け取ったが次のアクションを起こすことを忘れてしまっています。このような時は、連絡を受けてそれを次の動作に展開したことを確認するための、何らかのミス防止のバックアップができておれば良いのですが、連絡を受けっぱなしになってしまったのです。

やろうとする本来の業務の前の作業は忘れる可能性が高い、例えば食事という本来業務の前に薬を飲むのを忘れるようなケースがこれに該当します。

一方、エアコンの掃除を終わらせたが、エアコンの上に点検工具を置き忘れたまま運転を開始したというような、本来業務の後の作業を忘れてしまった場合です。このように、本来業務の前後の作業においては、「し忘れ」というエラーが発生する傾向があります。

さて、人のし忘れにより事故にならないように安全装置が付いている場合があります。例えば、コンロの異常高温防止装置ですが、この装置を過信して温度があがったら自動的にスイッチが切れるだろうと考えて、そのままにしておいたために鍋から噴き出してコンロを汚してしまうという事があります。し忘れによってこのような事態にならないように注意が必要です。

4)能力不足・・・人間の特性「行動」
仕事に対して必要な技能がなかったためにおかしたミスです。
(事例)
ハンバーグステーキの生焼け問題調理方法の説明を受けた時、自分では問題なく調理できると思い、フライパンに油をしいて焼きはじめた結果、表面をほどよい色に焼きあげるのに時間がかかり、配膳時間も迫ってきて動揺し肉の赤みが残っているものを提供してしまった。

5)知識不足・・・人間の特性「認知」
仕事に対して必要な知識がなかったためにおかしたミスです。特に教育・訓練で重要な事は、何故そのようにしないといけないのかという理由を教えることです。

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知らなかった?

                                日常のコミュニケーションで事前に知る!

(事例)
a.改訂された作業手順書の内容を正確に理解していなかったために、担当者に誤った説明をして作業を混乱させてしまった。
b. 新人の調理師が翌日使用の冷凍アジの仕込み段階において、冷蔵庫による緩慢解凍をしなければいけないところを流水によって解凍を行った。 
(説明)
1番目のa.作業手順の改訂は改訂された理由と目標をしっかり理解していなかったという知識不足であり、2番目のb.は冷凍魚を解凍する時は、袋から出すと魚の旨みがなくなってしまうという知識不足のために発生したものです。「知らないこと、できないこと」はしない。知らないことは聞く、できないことは訓練する、ということを守ることです。この意味で仕事につく前の教育・訓練が、予防につながっていることの重要性が理解できます。


6)違反・・・人間の特性「行動」
違反とは決められたルールを守らなかったことにより発生するヒューマンエラーです。初心者の違反は知識不足であっても熱心にやった結果として違反する場合が多いですが、熟練者の違反は意図的で故意である場合が多くあります。熟練者の場合は初心者の場合と異なり、規則やマナーについては良く知っているのですが、意図的にこれに従わなかったために発生するものです。このような違反は故意ですので必ず理由があり、また人の性格が影響する場合があります。

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ルールが守れない?

                                 しつけが不十分なためにおこるエラー!

[初心者の違反]
a. 身についていない 
b.はずかしい
[ベテランの違反]
a. 善意や好意 ・・自分だけが遅れてしまっては迷惑をかけると思い違反する。 
b. いい格好・・・・自分より技量の低い人に対しておかす。
c. 安全ボケ 
d.面倒は手順の手抜き


(事例)
a. ネギの袋を開ける時に包丁を使用して開封したために、汁物の中に万能ネギが入っていたビニール袋の切れ端が混入した。
b. 缶詰工場の冷凍庫の庫内温度は毎日作業前後に点検し、温度記録表に記入するように決まっていたが、いつチェックしても問題ない状態が続いていたため、昨日の作業後チェックして問題がなかったので、今日は作業前に確認しなかったが温度記録表には昨日の作業後と同じ記録を残した。

(説明)
一番目のa.は、ハサミでカットするのは面倒だとして、ビニール袋を包丁でカットする手抜きです。二番目のb.は、安全な状態が続いているために、冷凍庫の温度についての認識が低くなり作業前に確認しなかったものです。これらのミスは勤務年数の長いベテランでもおかします。
違反に対しては決して責めるのではなく、守れなかった理由を聞きいっしょに考えて対策するという態度が必要です。

 

7)ミステイク・・・人間の特性「判断」
今までは行動そのものの間違いでしたが、ミステイクに分類される失敗は、動作以前の段階で間違っており、行動の結果、うっかりミス(錯誤)であったことが分かるケースです。
例えば「〇〇駅は△△線の電車」と思いこんで乗っていると、終点まで行っても〇〇駅はなくどんでん返しを受ける事です。また、目的の店は7階にあると思い込んでいて、エレベーターに乗って7回のボタンを押したら違う店であったという場合もこれにあたります。更に事例をあげると、電話番号の「3」と「6」をつい押し間違うのが「うっかり」で、電話番号を間違って覚えていて「6」を押すのがミステイクです。

 

3.ヒューマンエラーの対策と予防を5S改善で
ヒューマンエラー対策の第一段階は「問題を認識する」ことです。問題であると正しく認識できるようになるためには、問題が発生しているかどうかを感じる意思がないと問題は発見されずに通り過ぎていきます。いつもと少し違うのではないか?大きな問題になるのではないか?と感じ取る力が必要です。

 

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(1)ヒューマンエラーの対策
真の原因を追究すれば、答えはおのずから出てくる
  a. 「現場」「現物」で
  b. 「あるべき姿」「原理原則」に基づいて
  c.   再発防止につながる要因が出てくるまで調べる。

    d.5S改善をヒューマンエラーの防止の環境に使う。

(2)ヒューマンエラーの予防  
予防効果を高めるためには、問題が発生しにくい環境を整えることが大事です。問題が発生しにくい環境を作るためには、ヒューマンエラーの問題だけでなく、関連する周囲の問題も含め一体となって処理しなくてはなりません。中でも上記の1)無理な事、2)うっかり事故、3)し忘れ、4)能力不足、5)知識不足は5S活動により削減の可能性が期待できます。

 

(3)ヒューマンエラー防止の個人の努力の必要性
次の図はヒューマンエラーの当事者を中心にして、「ソフトウェア」「ハードウェア」「環境」「当事者以外の人間」「管理」に分類し、その関係を示したm-SHELモデル(エム-シェルモデル)と呼ばれるものです。 

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図の m はこれらの要素の周りを衛星のように回りながら、不具合が発生しないように各要素を適切に運用するよう管理されていることをイメージしています。
ヒューマンエラーは、この中心にあるL(当事者)の凹凸と、それを取り巻く各要素の凹凸がうまくかみ合わなかったところで発生します。
 
[ m-SHELモデルによる分析事例 ]

事例:5分粥150gの患者に別の患者の5分粥50gを配膳した。
要 因:
L- management(管理)  粥の盛付けに関する手順が決まっていなかった
L- Software(ソフトウェア)  同一のトレーに量の異なる粥を置く習慣があった
L- Hardware(ハードウェア)  お椀の種類が一種類しかなく不足していた
L- Environment(環境)  照明あたりが不十分で確認しづらかった
Liveware(当事者) 食札の150gの1の数字を見落とした
L- Liveware(当事者以外の人) 配膳前チェックでフタを空けて確認しなかった

 

表中の「食札の150gの1の数字を見落とした」という当事者のエラーだけに注目するのではなく、「管理」「ソフトウェア」「ハードウェア」「環境」「当事者以外の人」についても考慮する必要があります。すなわち、体調管理、仕事の打ち合わせなどを含め、各要素との隙間をなくしエラーを減らす努力が必要です。時にはこれらの要素がトレードオフの状態になる場合もあります。そのような時は各要素をうまく調整しバランスをとる必要があります。言い換えると、それぞれの要素がしっかりしていても、組織の管理が不十分であればエラーが発生する可能性があることを示しています。

 

1.自分の特性の理解
苦い経験をきっかけに、何らかの知恵を使ってヒューマンエラー の発生を防ぐ努力をしてきた経験がある人もいるでしょう。
怪我の功名というように、先ず、
a)失敗を強く反省し意識すること
b)いろいろ考えても発生した問題は消えないので
c)再発しない手を打つ

という考えは重要な考え方です。
ヒューマンエラーは個人が起こす問題です。だから、個人が自分の特性を知り、個人に合った対策を講じなければ、指導者が優秀でも再発します。個人が犯すミスの本質を語らず、教育や対策会議をいくらやっても効果は少ないでしょう。上記にあげたヒューマンエラーの事例を参考に予防に努めましょう。

 

2.努力しないとミスは止まらない
a)次のような間違いは注意しないと記憶に残らない。
  ・ソースと醤油を間違えてかけた。
  ・塩と砂糖を間違えて料理に入れた。
  ・間違って登録番号を記入した。
  ・間違ってエレベータを降りた。
b)  強く意識していない時にミスが起こる。
c)失敗しても大勢に大きな影響がないと考える時、チェックを無視する。
d)考え事や心配など注意すべき事が他にあって、注意がそちらに向いている時。
e)繰り返し発生するとAさんはそそっかしいなどと性格で評価される。
f)刺激に対して個人差があり、同じ刺激に対して同じような反応を一貫性を持って繰り返される。
 
この種の対象には、なおるまでの訓練が必要。本人の努力が必要になる。修正するメリットを本人が理解するほど効果が図れる。スポーツにおけるフォーム修正などの特訓がこれに該当する。

 ヒューマンエラーは個人が犯した問題ですが、このような問題に対しては、問題=個人の特性と決めつけて、人を責めるべきではありません。人にはそれぞれ個性があり、ミスを犯す形態も個々に異なる。そこで、自分の特性を知り、自らミス防止の知恵を絞って自分に合った防止策をまとめることが重要です。

 

(参考図書)

  • ヒューマンエラーの科学 村田厚生
  • ヒューマンエラー 小松原 明哲
  • ヒューマンエラーの分析と防止 谷村 冨男
  • ヒューマンエラーゼロ対策 中村 茂弘
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5S活動の効果!5S活動は品質管理の基礎

                                                                  

異物混入や商品キズは物理現象ですが、数量違いはヒューマンエラーの場合が多いと言えるでしょう。問題の中には、この物理現象とヒューマンエラーが複雑にからみあった問題もあります。そのような場合は、問題の解析にあたって、その内容が物理現象である場合は、物理現象の解析を先に実施し問題を一つひとつ解決していく必要があります。 何よりも重要なことは、問題発生源にいる当事者がこの問題を二度と発生させないという強い決意がなければ、是正処置も進まず問題を撲滅できません。


管理する側にとっては、どんなクレームも報告するように厳しく指導したり、問題を報告すると厳しく叱責したりすると、クレームの報告が上司に報告されなくなるという場合があります。では、問題を隠さない土壌を作るためにはどのようにしたらよいのでしょうか。


店舗では最初から最後まで自分ひとりでやるという作業は殆どありません。チームとして作業しています。前工程から次工程へと引き継ぎをしながら、お客様に商品を提供しています。チーム作業でもっとも重要なことは、情報を共有することです。チームの課題や目標を共有することは、一人ひとりの行動のベースになるからです。引き継ぎを適切に実施しない、メンバーのミスをフォローしない、という状況が発生するとチームは重大な問題に直面します。


また、よくある問題として、安全衛生について意識が低く後回しにする傾向があるということです。このようなケースは、製造業では納期に間に合わせなくてはならないという意識が、レストランなどの食事サービスではお客様を待たせることなく提供するという意識だけが強く出てきた場合です。もちろん、時間内に提供するということは大事なことですが、食事サービスの土台である安全衛生をおろそかにすることはできません。特に、サービス業は人の行動が大きな影響を与えますので、リーダーは発生した問題の背後にあるものは何か、このことをしっかりと認識し、一人ひとりの行動を観察し、相談に乗ってチーム全体で解決していく雰囲気を創り出す努力が必要です。


クレーム対策のヒントは当然のことですが現場にあります。これらの問題への対応ポイントは、先ず、重大事故へ発展しないよう応急処置を実施すること、次に多発する事のないように問題の背後要因をつかんで同様の問題の再発を防止することです。 クレームが何件発生したとかいっても共通の認識を持つまでには伝わらない。なぜクレーム撲滅が必要なのか、ロスコストはどの程度なのかについても「見える化」しないと問題意識の共有化は難しくなります。

 


クレーム対策の心得
クレームが発生した時の対応や予防について重要と思われる12項目をとりあげました。全員で力を合わせて実行できる項目から取組みましょう。

1.是正処置とはクレームの原因を除去すること
応急処置では再発は防げない、原因が分からなければ是正処置もできないことを納得し、根本原因を究明することの重要性を理解する。

 

2.原因には「発生原因」と「流出原因」がある
発生原因とは混入した具体的な事実・・「虫が味噌汁に飛び込んだ」
流出原因とは止められなかった理由・・「検査で発見できずに出荷された」

 

3.なぜなぜ分析で原因を究明する
起こった不具合・不適合に対して、「なぜ」「なぜ」を繰り返して真の原因を見つける。発生原因と流出原因のそれぞれについて、具体的な対策がとれる段階まで繰り返す。

 

4.ルール(作業標準)を守らないとクレームが発生することを体得する
人数が少ないから不要という場合でも、基本事項を書いたメモなどは使用しています
が、このメモは作業標準の目的と全く同じです。自分がルールを守らなかったらどのような問題が発生するのか理解し、体に覚えさす。但し、長続きはしないかもしれません、なぜならヒューマンエラーが起こる可能性があるからです。

 

5.始めて、久しぶり、変更(3H)のリスクを見逃さない
人、設備機器、材料、作業方法の四つの条件を3Hの視点から管理し、変化を見
つけ未然防止することによりクレームの発生を防ぎましょう。

 

6.ヒューマンエラーはなくならないが、少なくすることはできる
「ウッカリ」「ボンヤリ」することにより、人はミスや間違いを犯してしまう。背後
要因まで掘下げる必要があります。1人ひとりが努力しないと少なくならない。

 

7.ヒヤリ・ハットの経験から予防対策する
各人が経験したヒヤリ・ハットの情報を皆で共有することによって、重大な災害や事
故の発生を未然に防止する活動。床の段差につまづきガラス製の高価な装飾品を落としそうになった。

 

8.危険予知活動(KYT)で未然防止する
住宅街を運転する時に、路地から突然、子どもが飛び出してくるかもしれないと考えてスピードを落とすのと同じように、仕事を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を話し合い、「これは危ないなあ」という事柄に対して手を打ち、事故を未然に防止する活動を行う。

 

9. 是正処置は現場の作業手順書に落とし込む
複数の工場や店舗を有する場合、共通の標準作業手順書作る場合がありますが、共通の作業手順書だけでは有効な効果が期待できない。

 

10.ポジティブな考え方で共通認識を持つ
是正処置の仕組みができてもそれを実行するのは人です。クレームに直面した人がどのように認識しているかが大きな影響を与える。共感、イベント、トップとのコミュニケーションにより全員が共通認識を持つ必要がある。

 

11.スピード対応
クレーム対策はスピードが命である。初動の遅れによる問題の拡大や再発により、
お客様の信頼を失い関係をこじらせてしまい契約中止につながることもある。

12.3現主義対策
原因を「現場へ出て」「現物・現象を見て」「現場で原因究明」する。クレーム報告書には再発防止策の欄があります。この 再発防止策を是正処置といいますが、皆さんは是正処置という言葉の意味をどのようにとらえているのでしょうか。
「是正」という言葉を辞書で引くと 「悪い点や不都合な点を改め正すこと」とでていま
す。「是正しなさい」と言われれば、文書であるなら間違っている箇所を直して再提出したり、態度であれば、以後、そのようなことが無いよう改める。というようにとらえられているかもしれません。 しかし、品質管理の是正は、それとは少し異なるのです。

 

 

品質管理の是正処置  
品質管理では是正処置について、「検出された不適合又はその他の検出された望ましくない 状況の原因を除去するための処置」と定義されています。これは、原因が分からなければ是 正処置もできないということでもあります。原因を除去するとは、原因を否定すること、裏返す ことです。原因が「△△が〇〇しなかった」ならば、その否定・裏返しである是正処置は「△△ が〇〇する」です。是正処置をどうしようかと考える必要はなく、原因を否定すれば、それが 是正処置になります。

具体的な原因になるまで続ける
したがって、クレームの原因が不明では正しい是正処置を実施することはできませんが、次のような原因もまた具体性に欠けるため是正処置がとれません。


a.周知徹底できていなかった → 周知徹底する
※これは分析の途中です。誰に、何を、どのように、どの程度するのか不明です。


b.~と勘違いした → ~と勘違いしない
※人は思い込みやうっかりミスというヒューマンエラーを起こすもの、これでは対策がとれません。ヒューマンエラーの 対策では、次の例のように背後要因まで分析しましょう。また、必要なら複数の是正処置を 実施しましょう。

 

(例)
1)同じ色のケースに入れ、隣どうしに置いてあったので間違っていることに気付かなかった。

2)時間に追われあわてており、しかも緊張していたので確認ポイントを忘れた。 


設備機器の破損と品質問題

鉄道や道路などの社会資本から家電製品や調理機器まであらゆる設備機器が直面している問題として、劣化等による破損のために多くの事故が発生しています。以前、調理機器のネジが食事に混入したという事故があったというニュースを聞いたことがありました。これは、きゅうりをスライサーでカットした時にネジが外れて混入したものでした。厨房の中では、冷蔵庫をはじめ多くの調理機器が使用されています。これらの調理機器は長時間使用する間に部品が劣化して故障する場合や、故障まで至らなくてもネジが締まりにくい、温度があがらないなど本来の機能が損なわれることがあります。

①事後保全
これらの故障に対して、「こわれたら修理・修繕する」という事後保全ではお客様に安全で喜んでいただける商品を提供することができません。

②予防保全
こわれる前に修理・修繕する」のが予防保全です。予防保全は作業の前に外観をひと通り目視するだけでは不十分で、取扱説明書にしたがって作成されたチェックリスト等を使用した点検を実施する必要があります。点検の内容はチェックしたけど故障したということがないように、チェック箇所とチェックの方法及び判定基準に曖昧な部分がないように明確にしましょう。

 

<予防保全

設備機器や器具の破損、摩耗状況に応じたこれらの機器の数を確認するだけでなくその破損や摩耗の状態に応じたアクションが不可欠です。さもないと、記録することが目的となってしまいます。このような場合になると、すべてが問題ないと報告することになり、状況に応じたアクションが表に出てこず、本来の目的を達成できないことになります。


③故障の予知と未然防止
設備機器の故障や危険な行動を予知して、事故を未然に防止する方法として有効な手段がKYT活動です。KYTとは、危険(Kiken)+予知(Yochi)+トレーニング(Training)のことです。「取り付け台のネジが緩んだら」「金具が振動で外れたら」など、作業に当たって「これは危ないなあ」とひそんでいる危険に気づき、事故の発生を未然に防止する取組みです。
言い換えれば、「危険に対する気づきの感性」を利用して予防することです。これは、すべての設備機器に対して活用できます。故障や事故が発生する前に、修理し未然防止に努めましょう。

 

 <設備機器の管理と5S活動との関係>

設備機器や工具などの故障や破損による品質問題の発生に対する5S活動は、「清掃」の中に点検を含める5S活動や、「修理・修繕」や「整備」の「S」を5S活動に追加する方法があります。

 

 

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5S活動にノンテクニカルスキルを活用しよう

                                      

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以前、ノンテクニカルスキルに関する講演を聞く機会がありました。それは航空業界や医療業界などリスクの高い業界で活用が進められています。

 

1.ノンテクニカルスキルとは何か

間違いを犯してはいけない業界の例としてとりあげられるのが航空業界です。航空業界の安全管理は医療安全の歴史より古く、医療安全は航空業界の安全管理を元に発展してきました。
航空業界において、種々の航空事故の原因分析を行った結果、事故は機器や空港、天候などの問題よりも、人間の問題(ヒューマンファクターズ)が原因であるケースが多いことが分かりました。また、その対象となる人間の問題も、操縦のスキル(テクニカルスキル)よりも、むしろ状況確認、チームワークなどの認知的、社会的、個人的なスキルの原因が多くを占めるといわれています。

図はSHELモデルと言われるもので、航空業界で提唱されました。4つの要因と中心の当事者との相互関係に注目して原因を究明し対策を検討するモデルです。中心のLは自分自身で、もう一つのLは自分以外の人を表しています。この「L(自分)」と「L(自分以外の人)」を点線で囲んだ部分における関係をうまく合致させて被害を小さくするための能力をノンテクニカルスキルと読んでいます。

 

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医療チームの安全を支えるノンテクニカルスキル(大阪大学)より

 ノンテクニカルスキルとは、自分たちが今まで培ってきた専門技術をうまく活かして皆でチームとして良い仕事をするための潤滑剤であるということができます。日本ではノンテクニカルスキルは、専門家や先輩のやり方から学ぶ「暗黙知」として習得するものだとされてきており、トレーニングの対象として取り上げられていませんでした。「ノンテクニカルスキル」という言葉は、現在多くの医療従事者などリスクの高い業界に知られており、各分野でノンテクニカルスキルを向上するための訓練が取り入れられています。

 

 

2. ノンテクニカルスキルに関係する事故  
医療事故の根本原因は、テクニカルスキルよりもチームのコミュニケーション不足やリーダーシップの欠如などノンテクニカルスキルに関する問題が多いという説明がありました。怒鳴る、見下すなどの問題行動が多いとコミュニケーションや協力を得るのが難しくなり、医療事故が増える傾向があることが分かっています。
様々な事故におけるエラーの約75%は、ヒューマンエラー(ヒューマンファクターズ)が要因となって発生していると言われています。先日、NHKのニュースによりますと、国土交通省は、去年までの5年間に日本の沿岸で衝突や転覆などの事故を起こした船舶のうち77%にあたるおよそ8,300隻は、不十分な見張りや不適切な操縦など人為的ミスが原因であったと報告しています。この数値は2:6:2の法則や2:8の法則にあるように5S活動に批判的な人の割合も約2割いるということになるようです。

 

3. ノンテクニカルスキルの分類とリスク

緊急時における人間の特性と限界により、適切な行動や正しい判断が阻害されるリスクに対するマネジメントの必要性について以下の説明がありました。
人は専門的な知識や技術を持っていても、おかれた状況によっては適切に対処できないことがあります。それは人間の特性や限界であることを教えるものです。この一人の限界を乗り越え、チーム全体で望ましい結果を得るためのスキルがノンテクニカルスキルです。それにはどんなものがあるか、そのスキルによってどんな効果を得られるのかということです。

 

<サービス業の5S活動>

まだ記憶に新しいところでは、コンビニエンスストアのショーケースに入った姿や寿司チェーン店のネタをゴミ箱へポイ捨てした動画をSNSへ投稿するなどの問題行動が世の中を騒がせるという事件がありました。これに対して企業はしっかり社員教育するとの報道がありました。このような職場は食品業界だけでなく、多くの業界で多かれ少なかれ存在しており、人手を必要とするサービス業の中にも5S活動を活発に進めている企業も少なくありません。そこには、5S活動継続のポイントがあるようです。
5S活動はチームで活動しますので、チームのメンバー全員が協力しなくては良い成果を上げることができません。チームはメンバーの構成によって色々なチームがあります。先ず身近なチームとして家族があります。そして、学校やスポーツチームなどがあります。デパートのフロアごとの販売チームやレストランなどに限らず多くの職場でチームという単位で活動しています。

5S活動においても職場ごとに決めた5Sチームも例外ではありません。航空業界や医療チームに比べれば緊急事態におけるリスクは遥かに小さいために実施する訓練も軽いものかもしれません。しかし、考え方は共通ではないでしょうか。ノンテクニカルスキルの中で特に参考になるところを抽出してみました。

 

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1) 状況認識
ミッションの前・進行中・後において正しい状況を把握する。状況認識がうまくできていないと、それに続く判断や行動を誤ってしまいます。
① ブリーフィング(事前打ち合わせ)
ミッションの前に関係者全員でブリーフィングを行い、状況の認識を共有する。この中には処置の目的だけでなく、一連の手順に加え緊急事態対処法を含めます。ブリーフィングには想定し得る緊急事態への対処方法や関係する人々とのコミュニケーションなどが含まれるとされています。航空業界ではどんなに飛行機が遅れてもブリーフィングをしなくてはいけません。通常5~7分程度と言われるブリーフィングをフライト毎にすべて実施しています。その目的は次のようになっています。

a. 安全で確実な仕事を実施するための意思疎通を図る(目標、手順のポイント)
b .リーダー(機長)の意思を徹底する
c .緊急事態など何か起こった場合の役割分担を確実に確認し合う

ブリーフィングはチームメンバー全員で実施、「状況説明」と「事前打ち合わせ」の要素を含んでいます。そして、これらを頭の中でシュミレーションすることが重要です。

 

② 振り返り(デブリーフィング)
ミッション終了後に、メンバー全員で自分のやったこと考えたことなどのノンテクニカルスキルを重点的に振り返り、課題を明確にして次につなげるものであり、いわゆる反省会ではありません。テクニカルスキルを中心に「振り返り」が行われ、建設的、前向きに、うまくいったこと、うまくいかなかったことを、お互い責め合いなしの議論を通じてメンバー自らの気づきで次回のパフォーマンスを向上させるものです。
結果よりもプロセスに重点をあてノンテクニカルな観点からチームパフォーマンスを振り返る。自分は?チームは?どうすれば次はうまくいくのだろうと気がねなく言える雰囲気が必要です。

 

2) 意思決定

人はチームで困難なミッションに挑戦する際には、下記の「サンクコストの呪縛」や「自信過剰」「一点集中」などにより、前進したいという気持や成功するに違いないという考えが高ぶっていくといわれています。


① サンクコスト(Sunk cost埋没費用)の呪縛
回収できない時間や投資、労力をサンクコスト(埋没費用)と呼び、これを将来の意志決定に反映させるべきではないという鉄則です。しかし、サンクコストにとらわれて将来の選択を誤ってしまうケースは決して少なくありません。これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済むと考えて赤字の運営が続けられることもあります。


② 自信過剰
自分がどれくらいの力を持っているかについて過大評価してしまう状況は、深刻な状況下で難しい意思決定が必要な場面でしばしば見られる。自分は大多数の人より優れていると考える心理、これは誰もが持っていると言われています。


③ 一点集中(とりつかれ)
人間はある一点に集中していると、他の予期しない出来事に気づかないという能力の限界を皆さんも経験されているのではないでしょうか。

 

 

3) コミュニケーションとチームワーク
適切な意思決定や正しい状況認識のためには、チームメンバーが上位の人に声かけすることが非常に重要であるが、私たちは、上司や先輩といった権威勾配に逆らって意見を言うことは難しいことを経験している。

 

 

4) リーダーシップとフォロワーシップ

リーダーシップは素質のあるトップリーダーだけに必要とされる能力ではなく、チームの全員がそれぞれの役割を認識してリーダーシップを発揮する能力のこととされています。また、チームのそれぞれのメンバーにはチームのリーダーや他のメンバーを支援する能力、すなわちフォロワーシップが必要です。チームで業務を遂行する際は、この両方の能力が必要とされています。

 

5S活動においてもチームメンバーは役割に応じたリーダーシップを発揮すべきであり、リーダーはできるだけチームメンバーに話させるようにすることが大事です。それにより、声を出す、意見を言う習慣ができ、何かいつもと違う、変だなと思ったら声を出し言ってもらえるようなチームを作りたいものです。ノンテクニカルスキルはチームで良い仕事をするための潤滑剤ですので、全員が個人のノンテクニカルスキルを磨きたいものです。ノンテクニカルスキルとは5Sの「しつけ」に近いものがあります。大切なことは、これが人間の特性であり限界であることを認識したうえで不利な状況に陥らないように、又陥ったときに局面を変えることができるようなノンテクニカルスキルを身につける努力をしましょう。

 常に危険がつきまとう建設現場や化学工場などでもノンテクニカルスキルに関する地道な取り組みがなされているようです。一般的にサービス業はこれらの職場より危険性は低いといえますが、人的要素の占める割合が大きなサービス業においてノンテクニカルスキルの考え方を活用できないか検討を進めています。

  

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 1.ノンテクニカルスキルと5S活動

  

 誰もが5Sの重要性は理解しているが継続できずにいるのはなぜでしょうか、どうすれば持続できるのでしょうか。それは、自分で気付き、自分でやる、そして、ルールが守れるように、守りやすいように、「やり方」を変える。そうすることによって自発性が生まれます。・・・そんなこと、言われなくても分かっていますよ。

 

「かたづけろ!」と怒られてやる整頓はその時だけで、ほとぼりが冷めたら元にもどります。自らの意思で行動する5S活動こそが継続できます。掃除をしろ、整理整頓を怠るなといわれると誰もが反発します。掃除でも、自分から進んで自発的にやった掃除とやらされてやる掃除では、見た目はきれいでも仕上がりが違います。・・・それも、経験して分かっていますよ。

 

何事も「目標」が共有できたら、活動の方向が明確になりモラルが向上し、チームワークも生まれます。しかし、それができないから困っていると言うわけです。これらの問題は、複数の人によって活動する場合に起こる共通の問題と言うことができます。

 

  1. 5S活動をやる時間がないという人の本音 本来の業務ではないのでやりたくない、余計なことだからやりたくない、できれば避けたいと思う、そんなことやる余裕がない、自分のプラスにならない、このような反応は、仕事量が膨大で「やらされ感」を持ったまま仕事をしている人たちがいます。このようなケースは、ルールの異議を考えず、今までやっていたからとりあえずやっているという場合が殆どです。
  2. 私だけなんでやらないといけないのと他人の非協力的な態度が不満 仲間とのコミュニケーションが不足しており、相談する相手がいない場合、何で私だけがやらないといけないのという気持ちになり、創造性に欠けるチームができる。
  3. 5S活動が自分に対する業務改善の効果を理解していない 5S活動によって自分の仕事がどれだけ楽になるか理解していない。淡々と目先の業務をこなしており、変化を好まない。

 

これらの不満から浮かび上がってくるのは、共通の認識、目的の共有、楽しい、表彰される、優位になる、仕事が楽になる対策をすることです。どこの企業にも2割ほどの反対者はいるという2:6:2の法則があります。まずは、反対する2割の人は相手にせず、積極的な2割と中間派の6割の合計8割の人を対象に成果を示し取り組みましょう。反対派に負けない強いリーダーシップが必用です。では具体的にどうすれば良いのでしょうか。

  

2.5S活動に必要なノンテクニカルスキル

5S活動を継続するためには次の事柄が重要です。 
1) ボトムアップによる意見の吸収

現場の従事者のやる気が重要です。指導者は雰囲気作りに専念し決して強制しない。


2) 5S活動は業務の中で行う

特に人手不足の影響の大きい外食業界は、パート社員が多く就業後に時間を設けるこ  とは困難です。パート社員比率の少ない組織においては正社員が中心になって5S活動を進めることが可能ですが、パート社員が中心の職場では時間の使い方は異なります。パート社員が中心の職場においては、業務の中で5S活動を進めることが必要です。つまり、組織の現場力に合わせた5S活動を行うということです。


3) 報酬、褒める、喜びを与える 

これは以前からモラールが低いからなどと言われていますが、多くは精神論として片付けているのです。ですから、最初のうちは一生懸命やっていた5S活動もいつの間にか元の状態に戻ってしまうという繰り返しです。

また、人は目的を共有できればチームワークが生まれると言われています。では、どうしたら目的を共有できるのでしょうか。上司が一生懸命目的や仕事の重要性について話をしても、自分には関係ないやとよそを見ている人がいます。このような人たちは5S活動についても同様で、やりたくないのです。このようにいくら精神論でやっても効果につながらない場合が少なくあります。

 

そこで、このような状況を解決するために、5S活動で必要なノンテクニカルスキルを、「状況認識」「意思決定」「コミュニケーション・チームワーク」「リーダーシップ」に区分してみましょう。

 

 1.5S活動をやる時間がない → 状況認識

仕事が忙しいという場合はどのような対策が必要でしょうか、これには5S活動の重要性を理解できていないために、正しく状況を認識できていな場合も含まれます。

   ・5S活動と企業の方針とのつながりを理解する

   ・業務分担が目的達成のために適切であり、健全であることを理解する

   ・思い込みによって事実と異なることを認めてしまう 

     

 2.5S活動に全員の協力が得られない → コミュニケーション・チームワーク、

                      リーダーシップ

自分だけどうしてやらなければならないのか、全員が思い思いの仕事をしておりお互いが非協力的である。

   ・改善シートの掲示により、チームワークの成果を分かちあう

   ・簡単な目標の達成で成功体験を体得して維持継続する

   ・朝・昼礼などでの話し合い情報の共有化をはかる

 

 3.業務改善をやろうという気持ちがうすい → 意思決定

5S活動によって仕事が改善できることを知る。

   ・改善活動結果に応じた報奨金制度をつくる

   ・改善効果に応じて表彰することにより、改善の必要性の理解を高める

   ・改善して良くしようという自発的な行動につなげる

 

 

3.ノンテクニカルスキルを高める訓練の事例

自らがどのように5S活動に取り組んでいるかをチェックする5S自己チェック表を作成し、自分の行動をチェックしましょう。自己啓発のために5S自己チェック表を活用した改善を進めることも一つの手段です。片付けだけの5Sが一通りできるようになったのであれば、これからは、レベルアップをして改善力を成長させていきましょう。レベルアップといっても、難しいことをするのでありません。簡単にできることを、笑われるようなことを確実に実施することから始めます。


成果を出す5S活動にするためには、片付けスタイルの5Sから脱却しなければなりません。片付けを繰り返していても不要なモノを生み出す発生源を無くさなければ、いつまでも片付けをしなければなりません。不要なモノを生み出すプロセスを改善して、片付けをしなくてもいつも綺麗で仕事のしやすい環境になっている職場を作ります。

5S活動に対する自分の行動を自らチェックすることにより、ノンテクニカルスキルの向上に役立てようというのが自己チェック表です。5S自己チェック表の狙いは、

  1. 5S活動の結果を出すことであり、仕事のしやすい環境を実現する5S改善につなげるためです。
  2. 自己啓発に役立てることです。その一点目は、自発的な行動を呼び起こす。自己チェックにより、守られていなかった項目の重要性を認識することによりルールを守ろうと言う自発的な行動が期待できます。二点目はミスを少なくする。人は思い込みや勘違いをする生き物ですが、そうならないように、自ら、自身に問うことによってミスを少なくすることができます。自己チェックはヒューマンエラー予防の一つとして効果があることが確認されています。

 次に5S自己チェック表をどのような場で使うかについて、三つの使い方の事例を説明します。

  1. 朝昼礼やミーティングなどでの読み合わせです。各項目の定義と説明を朝昼礼や職場ミーティングで読み合わせをした後、自己チェックしましょう。
  2. 自己チェック結果の改善事例を朝昼礼やミーティングで発表することです。自己チェックの結果に基づき改善したことを朝昼礼やミーティングで発表し、メンバー全員の意見を聞き参考にしましょう。・・・コミュニケーション・チームワークのスキルアップ
  3. 自己チェックの結果、複数の人が、改善が必要であるとした項目です。このような項目については、メンバー全員が協力して改善する必要があります。

 

 

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